未来ノート
鯨月いろ
第1話
――?
◇
ある日僕は、未来ノートを拾う。
学校の校庭で拾った。
学校から帰る道中、内容を確かめてみる。
――How to use
英語で書かれていた。英語か……めんどうだな――
◇
How to use
This note is このノートは、未来の事象のみを書くことができる。
(――英語やめるの早ッ!)
このノートに書いたことが 未来に起こり得ない内容は、書いたそばから削除される。
起こった内容においては、翌日の日本時刻零時に削除される。
このノートに書き記すことができた未来の起こりうる事象に、ノートの持ち主が逆らった時、このノートは消滅する。
◇
ただの中二チックな落とし物にしては、手が込んでいる。ここまで書かれていると試してみてもいい気がした。
家に帰宅する。ノートを机の上において考えてみる。
我が家での平日の朝食は、ご飯と味噌汁。定番メニューだ。
土日になると、パン食になることもある。明日は平日だから、ご飯と味噌汁しかありえない。
明日の朝食はご飯と味噌汁
軽い気持ちで書いてみた。
シャーペンで書かれた文字は、当たり前の事象としてノートに書き記されたままだ。未来に起こりうる内容なのだから消えない。
本題はここからだ。次に下の行へ書き足した。
明日の朝食はパン
未来にない内容。消えるか?
しばらく黙って観察する。何も起こらない。
――ふ、ふふふ。
期待してしまった。落し物が中二チックなら、それを拾った拾い主も中二病だったということか。自分で自分を笑ってしまう。
期待していた本心を悟ってしまうと、悔しさがこみ上げる。
句点(。)を補ってみた。それで何かが変わるとはもう思っていない。これはそう。諦めるためのケジメだ。
はじめは句点を両方に書いていなかった。
明日の朝食はご飯と味噌汁。
明日の朝食はパン。
書き足した。これで満足だ。アホなことはこれで終いにしよう。
明日の朝食はご飯と味噌汁。
·.·:.・...*.··.·:.・...*.··.·:.・...*
――!!!
――文字が消えた!?
句点を書き入れるや、文字はさらさらと秒で消えてしまった!
――未来ノート
「本物だ!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます