徳島ララバイ

19時のかちどき橋通り


まだ残る


夕焼け空


ここまで来たら


もう二度と


思い出すことはないと


想っていたけれど


忘れられない


あの娘との思い出よ


川面(かわも)に


映る


俺の表情(かお)は


まるで


みにくいあひるの子のように


愛を忘れた


迷子の表情(かお)になっていた


もう眠りなさい


涙を流しながら


歌っておくれよ


愛の歌を


ああ


徳島ララバイは


哀しい男の


ひとり寝の子守唄



22時の秋田町


栄町から


飲み歩いて


ここまで来たら


もう二度と


思い出すことなんかないと


想っていたけれど


忘れられない


あの娘との思い出よ


飲み屋で働く


女の子の表情(かお)が


別れたあの娘に


面影がよく似ている


泣いて別れて


もういくつ


月日(とき)を数えたのか


もう眠りなさい


涙を流しながら


歌っておくれよ


昔の流行歌(はやりうた)を


ああ


徳島ララバイは


哀しい男の


ひとり寝の子守唄



1時のホテルのラウンジ


哀愁歌(ピアノソナタ)を聴いていた時


ここまで来たら


もう二度と


思い出すことなんかないと


想っていたけれど


忘れられない


あの娘よ


夜が明ければ


あの娘への未練なんか


きれいに捨てると


決めていたけれど


ほやけど(だけど)


思い出は


捨てることは出来ない


もう眠りなさい


涙を流しながら


歌っておくれよ


風の歌を


ああ


徳島ララバイは


哀しい男の


ひとり寝の子守唄



ねんねんころりよ


おころりよ


1人の寝床で


泣けばいい


もう眠りなさい


涙を流しながら


歌っておくれよ


愛の歌を


ああ


徳島ララバイは


哀しい男の


ひとり寝の子守唄


ひとり寝の子守唄

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