第5話 墓地にて(表)

「と、昔の人は考えたんだろうな」

 学の独り言は続く。


「しかも、カマイタチの正体は空気中にできた真空によるものだとか、草生える。こんなトンデモ理論が長年信じられていたなんて、妖怪を信じていた昔の人を笑えないな」

 学が地面に落ちていた枯葉を拾った。


「これがカマイタチの正体だ」

 学が素早く枯葉をヘリで手の甲を切ると、一筋の赤い線ができた。


「紙で手を切るのと同じだ。つむじ風に見とれている間に、風で舞った枯葉により体に傷がつく。それだけのことだ」

 学が枯葉を放り投げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る