根幹
彼らは、どうして不安を嫌がるのだろう。
不安は、自分を守るための大切なサインではないか。生きようとする意思の現れではないか。
それを避けるなんて、もしかして皆んなは生きようとしない、自殺願望者なのではないか?
不安になれるのは、幸福なことなんだ。その考えは、私にとって、世界の真理のようなものだった。
「お、ここにいたのか」
昼休みのプールサイドだった。
たまに来ることはあったが、まさか人に見つかるとは思っていなかった。
「私に用でも?」
軽く微笑んで尋ねる。相手は顔色は変えず、のそのそと近寄る。
ボゴッ
グーから来るのはいつ振りだろうか。最近は平手打ちがお気に入りだったのに。
血の味を感じながら、彼を見つめる。
「......」
まぁ、そうでしょうね。
「痛いです。先生」
「は?黙れブスが」
罵られ、殴られ、蹴られる。身体中に痛みが広がる。
自分の力を感じたいのだろうか、逆らえない少女を見て、優越感に浸りたいのだろうか。
「辛いか?」
今日は珍しい。私の意見を聞くなんて、そんな無駄な事してどうするのか。
もう一度微笑みを作って、答える。
「いいえ」
「何?もっとやれってか?」
「辛くはないですよ?不安になれますから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます