答えられなかったボクは、"アイディ"という名前をもらった。


 創造主からの尋問からは解放されたが、果たしてこれからどうすれば良いのだろう。


 とりあえず人がいるところにでも行って、話を聞いてみることにした。



 赤煉瓦を使った建物と石畳の道で構成された、そこそこ大きな街があった。


 人通りも多く、会話と笑いは絶えない。それだけ見れば、幸せそうな街に見えた。


 というのも、いくつか気になる点があったからだ。

 

 まず、落書きやポイ捨てされたゴミなど、あらゆるものが放置されていることだ。まぁこの程度なら気にする程ではないかもしれない。


 だが、人が頻繁にものを盗んだり、会計を無視したりしているのは気になった。しかも、その行為に対して周りの人だけでなく、盗まれた本人も全く対応していない。


 人の会話の内容も、今日の天気とか昨日の食事とか、事実を述べるだけの全く深みのないものだらけである。それなのに皆は笑い合っているのだ。

 


 まるで、自分が間違っているかのようだった。

 

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