BEN-K
更楽茄子
第1話 序
しんしんと降る雪の中、狭い山道を馬で駆ける者がいる。
馬には2人乗っており、二人分の重さと登りを駆け続ける馬の息は大きく乱れていた。
手綱を握っていた大男はそこで馬を止め、一人馬から降りる。
「お前、なぜ降りるのだ?」
「主殿は一人山を越えませい。幸いここは一本道、拙僧が追っ手は食い止めます故に、さぁお早く!」
大男の言に馬上の若き主人は首を大きく左右に振る。
「何を言ってるのだ!?。さぁ、早く乗って一緒に逃げるぞ!」
「いいえ、なりませぬ。このまま2人乗っていては間もなく追いつかれるでしょう。そうなれば2人とも討たれる事になりまする」
大男は馬上の主人をまっすぐ見て笑う。
「なぁに、拙僧の強さは主殿が一番分かってましょう。主殿は必ず逃げ、必ずやあやつを討って下され。それが拙僧の最大の望みです」
「…分かった。だが、命令だ。絶対に死ぬなよ?。絶対だぞっ!」
そして背の軽くなった馬は、また再び山道を駆け始める。
それから間もなく、追って来たらしき集団が馬でやってくる。
大男は道の真ん中で背に背負った籠から大きな長刀を取り出すと、集団に向かって構える。
「主殿…あとは宜しくお願いいたします…。やぁやぁ、あいや、待たれいっ!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます