12話 仕事

 あれから数日、私の水道掃除も片付き、アニスも新しく受けた街の掃除や細かい仕事を受けを終わらせたので朝一で冒険者ギルドに来て、仕事の報告を済ませる。

 

「はい、大丈夫ですね、此方が報酬になります」

「ありがとうございます」


 銅貨5枚でよく働いてくれると言うので、この数日の仕事で街の評判も上々。初めは何だかんだで渋々仕事をしていたのだが、今では率先してそういう街に関係する依頼をするようになったのだが……やはり不満と言うのは出てくる。

 ああやって相変わらずの好青年なのだが2人で飯を食い始めると、やっぱり少しずつ不満が出てくるのでそろそろちょっと違う仕事をやってみるか。


「で、次に水道掃除の依頼ですね」

「もっと報酬を上げるか定期回数を増やしてほしいもんだね」

「耳の痛い事を言わないでください……」


 愚痴ってもしょうがないのは知ってるが、もう少しどうにかしてほしいと思うのは確かだ。そもそも街の管理なんだからそういうのを専属としてやれるのを雇った方が良いと思う。


「今度ギルドマスターに合わせな、ちょっと文句言ってやるから」

「そんなほいほい呼び出せるもんじゃないですよ」

「あいつが股間丸出しで外を走ってた時から知ってるんだよ、こっちは」

「どういう状況なんですか、それ」

「昔の話だよ」


 そう言いながら用意された水道掃除の報奨金を確認した後に懐に入れてから、掲示板前にいるアニスと合流。新しい依頼を物色しているのでどうするかをそこで話し合う。


「街の依頼ってのは常にありますね」

「あまりやりたがらないからだよ、これから旅に出て他の街に行くなら、まずはこういうのをこなすんだ」

「ええ、この数日でよくわかりました」


 不満はあるけど、納得はしているのでまだいい方だ。そういえば昔、こんなどさ周りばっかりやってられるかと言い、好き勝手やったあげくに盗賊にまで落ちぶれた奴もいたな。


「と、言ってもお前の剣を試してみない事にはな……これ、やってみるか」


 依頼の中で少し位の高いもの。と言っても、そこまでだが……内容は少し強めの魔物を狩るというものだ。


「えっと、ベアの狩猟ですか」

「そうだ、最近肉が品薄になっているらしいから、肉屋からの依頼」

「……あれ、結局街からの依頼じゃないですか」

「肉が少ないからと言うのもあるけどね、そもそも討伐依頼ってのは魔物の繁殖を抑えるための物なんだよ」


 はあ、と気の抜けた返事をしながらベア、まあ熊狩りだな。それなりな危険度があるが、肉の量も美味しさもあり、なおかつ売れるので結構高い報奨金になっている。

 と言っても、油断すれば命の危険もある依頼なので、位の低い冒険者は二の足を踏み、少し高いのは、今更こんな依頼をしたくない、と言うのが実情。まあ、どこに行ってもそういう依頼の優劣と言うのは存在しているのでしょうがないと言えばしょうがない。


「とにかくこの依頼をやるのにあたって、装備や道具の選定からだね」

「そんなに意識しないと駄目なんですか」

「どんな依頼であっても気を抜かずにやるのが、本物なんだよ、覚えておきな」


 自分の頭に人差し指で何度か突いているのを見せてから、2人揃って熊討伐の依頼を受け、控えを受け取る。


「して、どんな準備を」

「此れから教えてやるから街に行くよ」


 流石にまだ買い直しはしないけどな。

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