第50話『闇の使途』
嘘だよこんなの。
あんまりじゃね?今回は私も時間を掛けて好感度を……そうっ好感度を意識して上げて来たつもりだった。
しかし、それでも………それでも私は。
「悪いなぁ~アオノ、この2人は最初からオレの女何だよ」
「………………」
そっそりゃあイケメンだ、美少女2人とパーティー組んでたら先ず間違いないなく片方はお手つきだとにらんではいた。
しかしまさか……そんなまさか………。
まさか二股だと………それも公認!?。
有り得ない……そんなことが、有り得て良いはずが無い!1人の彼女すら人生で1度も出来たことのない中年にはそんなのは言葉しか存在しない物だ。
全てはフィクション、フィクションの中のファンタジーの筈……………だった。
「これはっ一体どう言う事なんですか?」
「ん?そんなの聞かれて全部教える訳ねぇだろ?けどっそうだなぁ……一応話しておきたい事は、後ろの気配とか探ってみれば?……」
「アタシ達の仲間がオッサンを囲んでフルボッコにして始末するのよ、アンタはもうお終いって事ねハハハッ!」
パメラちゃんの声だ、一日一緒にいて初めて聞くくらい生き生きとした声である。
そしてイケメンフォッシュが多少とは言え誤魔化しながら話してるのに大事な部分を全て言ってしまった。もしかしてドッキリか?。
そして後ろをチラッと見ると、………なる程、洞窟の入口付近。夜なのでパッと見分かりにくいが私の魔力感知が無数の人間の接近を捉えている。
ドッキリな訳が無かった。全身を黒いマントで包んだアサシン見たいな連中から凄い殺気を感じる、どうやら私に死んでもらう云々は本気の様だ。
「アオノ、お前からは小さな魔法陣しか見えないだろうがオレ達にはお前の間抜けな顔がバッチリ見えてるぜ!精々その集団にあっさりやられずに頑張ってくれよな?」
「じゃないとショーを眺める私達が退屈なんだから~あんっフォッシュ~?」
「わっ私もですよー!」
「ハハハハッ!分かったって!もう少し待ってろ?直ぐに可愛がってやるからさ……」
本当に一応は繋がりを誤魔化そうとするよなこの裏切りのイケメン野郎は、そしてマーナちゃんさっきから中年の生死なんて無視しまくりだね。
後ろの殺気全開野郎よりもこの結界の先で何が起きているのかが気にな…………なっな、ならない!。
他人のアァーンでイヤァーンなんて童貞といえども興味の欠片も持てませんな、ハッ!。
「まぁアレだ流石に何も知らないで死ぬのも無様過ぎっしな、ヒントをやるよ。
オレ達冒険者ってヤツらはそれぞれがこなす役割があるだろう?オレはアタッカー、マーナはヒーラー、オッサンは………囮ってか!?ハハハッ!」
どうしょう……この結界を秒で破ってあのクソイケメンをフルボッコにしたい。
「つ~ま~りっオレ達のパーティーは『危なっかしい駆け出し冒険者のパーティー』って役割を演じるのが仕事って訳だ。お前見たいな実力のあるからって、少し勘違いをした中堅冒険者を罠に嵌めるプロなのさ」
なるほど役割か、どうやらこの冒険者を名乗る3人、私の予想よりも更に禄でもないヤツらと繋がっているのか?。そしてもう一つ気になる事が…。
「…………勘違い?」
「違うか?オレのパメラとマーナにあれだけ露骨な視線を贈っていてよ。自分の歳とか考えろよオッサン?」
「………………」
バレてた、それも1番バレたくない、バレては行けない相手に………死にたくなってきた。
だってそれはつまり、パメラちゃんとマーナちゃんにも自身の思惑が……思惑が……くっ!。
私は見た目落ち着き払にながらも内心は地獄の底に真っ逆さまである。
「全くよねぇ、アタシの胸とか見る時視線とか……死ねって思ったわよ?」
それについては何も言えねぇ状態の私だ。
本当にごめんなさい、だから許してくれません?。
「……まっそれは後ね?オッサン。確かにアンタは強い冒険者としての知識とかも、1回しか一緒にダンジョンを探索してないけど大した物よ?」
その手の知識ってゲームとラノベ、後はリエリとユーリが街の人々から得た知識をつなぎ合わせた物に過ぎないけどな、それがたまたま上手い具合いにいっただけである。
しかし中年は知っている、これはアレだ……。
上げて…………………………落とすヤツだ!。
「けどね………アンタ見たいな顔を不細工で身長も低めで足も短い小太りの黄色い肌の中年野郎がさ~」
「うっううん!フォッシュ~~!」
あっマーナちゃんがエロい声をまた上げてる。
「アタシやマーナ見たいな乙女にに近付こうなんてのがそもそも身の程を知らなさ過ぎでしょ!?」
「くっ!いくぜマ《古池や蛙飛びこむ水の音~》……!」
「あんっ!来てフ《閑けさや岩にしみ入る蝉の声~》」
パメラちゃんの暴言、しかしその背後ではイケメンの声も上がり始めた。
私も脳内の擬音フィルターで必死に邪悪な音をかき消す!。
「何?あの上からのありとあらゆる目障りな態度とか喋り方とか本当に……この……不細工な!ブッサイクな中年の腐ったオッサンがあぁーーーっ!」
「フォッシ《ウオォオーーーーーー!》…!」
くっ!もう脳内の擬音フィルターも限界が近い!。
更にマーナちゃんがアァーンでイャァーンな声が続く……なんだこれ。
そして予想の遥かに超えて落とされたな。
何か後ろの声が心をえぐり過ぎて大して効かないよパメラちゃん?まぁ心は死にそうなのは変わらずどだけどな。
いやっ私の言葉遣いとか態度にイラついてるのは知ってたけど腐った中年は酷すぎね?あんまりじゃね?それと本当に外野の声が入りすぎだろ。
私の心のフィルターで殆どをカットしたから良かったものの、下手したらR指定喰らうぞ。
そしてやっぱり、腐った中年は……あんまりだろう?。
パメラちゃんの罵倒に心のヒットポイントはほぼゼロなのにマーナちゃんの追い打ちが中年の死体を吹き飛ばす様な連携口撃だ。駆け出し冒険者にあるまじきチームプレーである。
「クハハハハッ!アッハハハハッ!アーハッハッハッ!ざまぁねぇなアオノ!お前でもその数には勝てねぇぞ?大体中年風情がこのオレ様に上から物を言…」
【世界よ、その歩みを止めよ。
パメラちゃんの罵倒もしんどいのにゲスイケメンの戯れ言まで聞いてられるか、私は魔法で世界の時間を停止させて連中が言う絶対絶命のピンチを無視する。
さてっとこれで遠慮なく魔法で全て対処する事が出来るな、私は複数の魔法を発動する。
先ずは
女性のプライバシーには配慮をする私だけど、流石に殺害ミッションに加担した相手にまで遠慮とかしない、これ以上行動がエスカレートとかされたらシャレにならないからな。
「……………なるほどねっそんな理由かよ」
魔法で情報をゲットする事に成功した、しかしその理由は、かなりアホな内容だった。
フォッシュ達が入っている組織、その詳しい情報は彼らも碌に知らなかった。彼ら的には半グレの集団的な組織だと考えていたらしい。
そして私の命を狙った理由だが、どうやらその組織のボスが私と一緒にラビリントルに来たイオちゃんやゴーレムツインズに目をつけたからの様だ。
フォッシュ達の記憶にあるボスは正に今日瞬殺したトロールを人間に僅かに修正した様な大男であった。そんな掛け値無しの超ブサイクがイオちゃんやリエリやユーリを何としても手に入れろっとか抜かしてたわ。
そして中年を罠に嵌める為に色々と行動を開示した外道な冒険者パーティーと背後のアサシン集団だ、ついでに言うと浅い層に出て来たトロールもコイツらの仕込みであった。
何でも私の実力を疑っていたのは本当だったらしく、浅い層にトロールを追い込んでさっさと中年冒険者を亡き者にしようとしてたらしい。
………後あの受付のマッチョもグルだった。
流石にあのタイミングで話を振っといて無関係とか有り得なかったよ。悲しいね。
更に今この時の段階でイオちゃんとリエリには既に見張り的な連中が何人も張り付いているらしく、時間をかけて情報を集めている最中らしい。
私を殺すのは目当ての女性の近くにいるハエは取り敢えず潰しておくって発想をするボスの命令だそうだ。
そんな短絡的なヤツが頭のせいでこの場にいるフォッシュ達十数人の犯罪者達は……何故だろうか、私は憐れみすら感じております。
私の心意看破は相手の持つ情報から私が知りたい情報だけを選んで心を読む魔法だ、このイケメンや美少女達に何があってこんな連中とつるんでいるのか知ろうと思えば知れるが……まぁ興味がないとは言わないがそこまで深入りはしない、何故なら………。
【我が力により新たな僕を此処に。
私はこれからこの場の連中を……フルボッコにするからである。何故ならば。
イケメンフォッシュとその女達、彼らは闇の使途である。
我々、光の
なんて恐ろしい存在だろうか、あの魔神イシュリアスが霞む程の巨悪である。
そして私が召喚したのはファントム君シリーズより、ファントムセイバーだ。敵さんよりも倍以上の数召喚した。
全身鎧と言うより鎧一式だけが勝手に動く、某伝説ゲーのさまよう感じの鎧なモンスターである。
しかし今回は自慢の剣は装備していない、無手である。
………まぁ鎧の小手だけどな、殺そうとしてくる連中ではあるけどこちらの敵ではないのだ。結構痛い目にあってもらってラビリントルの警察的組織に突き出してしまおう。
この都市で生まれた犯罪組織だ、この都市の方で裁いてもらうのが正当だろう。何より人殺しになるのは嫌だしね。
モンスターだって向こうが気さくに喋ってきたらとても魔法で攻撃とか……キツいなぁ~。頑張って
それでも相当良心がシンドイ事になる自信があるわ、まぁ命懸けならやるときはやるけど。
しかしこの犯罪者達は確実に私の敵だ、イオちゃんもゴーレムツインズも渡さない。
何故なら今の私はイオちゃんの護衛の冒険者でもあるのだから、ユーリとリエリに護衛がいるのかは……今は考えない様にしょう。
何より、この連中はほっとくて絶対に面倒くさい事になる手合いだ、だからここで始末をつける。ラビリントルにいる組織とやらの連中も全員捕縛だ。
あっそれとこの時間停止を発動してる内にリエリとユーリを自由にして集めた情報を話しておこう。
私はリエリとユーリの2人だけ、掛かっている時間停止の魔法を解除した。
私の魔法なら時間が停まっている世界でも許可した相手なら普通に活動出来るのさ、ご都合ファンタジー最高~。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます