第2話 マックの女子高生と史上最強のアイドル
「ねえ、昨日の“神ノ兄妹”見た⁉︎」
「見た見た、“ミュージックステーショナリー”でしょ⁉︎ すごかったよね〜ジョー様! 私もう意識失っちゃうところだった」
「実際、収録に参加した観覧者の人達、何人か卒倒して運ばれたらしいよー。Tsubuyaiterの噂だけどね」
「ジョー様マジ半端ない。天使」
「天使っていうか神でしょ。ゴッド」
「でもなー、私実はアイ様の方が好きかも?」
「わかる! 目覚めちゃうよね、自分の中の何かが」
マクドゥガル新宿店。日々量産されているであろうハンバーガーを頬張る私のすぐそばで、女子高生達が黄色い声を上げながら会話している。女子アナウンサーとして日頃慌ただしい日々を過ごす私、
神ノ兄妹。兄、神乃ジョーと妹、神乃アイの「リアル双子」によるアイドルユニット。デビューは二人で登場した紙おむつのCMだが、その当時から(当時から! つまり0歳からだ)美しすぎる双子として話題になっていた。しかしそのあまりの美しさに話題が集まってしまうことから、子役としての扱いが難しく出演作は限定的だった。
そんな二人がアイドルデビューしたのが今年。18歳まで雌伏のときを過ごしていた二人は、その蓄積された潜在エネルギーをデビューと同時に炸裂させた。ありとあらゆる雑誌の表紙を飾り、ほとんどの音楽番組で過去最高視聴率を叩き出した。この音楽配信全盛の時代に、形あるものとして所持したいという理由でCDが飛ぶように売れた。
テレビ業界の末席も末席、目を凝らさなければ見えないほどの末席を汚しに汚している私に兄妹への生放送でのインタビューの仕事が回ってきたのは、幾重もの奇跡の賜物と言う他ない……と思っていたが、実態はそうでもない。なにせ、兄妹に間近で対面して正気を保つことができたインタビュアーが少ないのだ。兄妹の放つ超強力なオーラは一般的な感性を持つ人間では太刀打ちできないらしい。私の過去の他の芸能人へのインタビューの様子を見て、何を判断したのか私であれば大丈夫だろうとディレクターじきじきのご指名があったそうだ。そこまでの人間がこの世にいるのかというのもにわかには信じがたい話だが、通常では回ってくるはずのない大スターへのインタビューが私に回ってきたのも事実。
そうして私は、運命のインタビューの日を迎える。
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