第19話

「ここが、bhk769032地区」

アカリが複雑な心境で名前を吐露した。

男がこんな遠くまでわざわざ連れてくるからには

相当な訳ありに違いない。

アカリは後ろを振り返り男の顔を見つめた。

「別名地獄忘れの町」

「地獄忘れの町」

アカリが反復した。

「自分にとって一番大切なことを忘れさせられる

地獄の町ですよ。ちなみに私は岡崎といいます」

岡崎はそう説明すると、通りすがりの女

に聞いた。

「恋人の名前は」

「わからない」

女は頭を抱えてその場にうずくまった。

「誰がやったの」

アカリが怒りに任せて

尋ねた。

「コントローラー」

岡崎が答えた。

アカリにはその意味がわからなかった。

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