008 臨時総理

避難の日から一夜明け、ココロはギルドホールのベッドで目を覚ました。緊張か興奮か、あまり眠れなかった。ぼーっとしていると、ココロの部屋の扉が開いた。綾瀬が立っていた。一通りの挨拶を済ませると、綾瀬は本題に入った。


それからのことは、ココロも驚きのあまりほとんど覚えていない。ただ、気づくと目の前にはたくさんの人々がおり、ココロのが挙行されていた。


実は昨夜、会議室に集まった関係者らはの話をしていた。現実世界に帰った後の話をしていた。


「これは総理の、いては我が党の支持率回復のチャンスですぞ。」


ココロを利用しない手はない。あれほど民衆の支持を得られる者などおらん。」


「まずは大臣あたりに起用して、政権のイメージアップに使うか。」


そんな話がまとまりかけていた時、ある大臣が一つの提案をした。


「総理。もしこの世界で問題が起き、収集がつかなくなれば総理の進退問題になります。ここは、臨時総理というかたちで彼を神輿みこしにしてはいかがでしょう。」


この提案は会議室の主流となった。それぞれの立場と思惑、利害が一致したのだった。どうなるかわからない世界、の立場はごめんだった。緊急事態下であるため、特段の議決なく、この部屋で意思決定が行われていく。この意思決定は綾瀬に伝えられ、今朝の出来事に繋がることとなった。


ここに史上最年少、しかも政治家でもないが誕生したのである。

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