コーヒー屋で働いているのにもかかわらず、私はコーヒーが飲めない。

入社するまで、コーヒーを嗜んだ経験ゼロ。

よくこんな私を採用したなぁと感じるとともに、よくこんな私も応募したなぁ。

業務のひとつとして「テイスティング」という、抽出したコーヒーの味わいを確認する作業がある。

これがまぁ苦行。

ドリップコーヒーはまだしも、エスプレッソがまぁ苦行。

だけどこの苦行を毎日行うなかで、コーヒーの味わいは分かるようになった。

フレグランス、アロマ、ボディ…

コーヒーの奥深さ、おもしろさを感じられたきっかけだ。

だがもうひとつわかったことは、コーヒーが自分の体質に合わないということである。

これはもう、コーヒー屋で働く人間として非常に致命的なことで、気付いたときは少し笑えた。

少量ならば問題なく、日々の生活に差し支えることはないが、たまに飲みすぎて後悔しながら働いている。

コーヒーも嫌い、体質にも合わない、なんでコーヒー屋で働いとんねん！

聞こえます、はい。

そもそもコーヒーではなく、カフェ空間が好きで、カフェ業界に就職したいと思ったのが始まりだ。

そしてそのカフェ空間を好きになったきっかけが、私の大好きな紅茶である。

幼いときから我が家の朝食は、パンと甘いミルクティーだった。

外食先で好んで飲むのは、ピーチティーだった。

今考えると私は、すごくませたおちびちゃんだ。

もちろん飲むのも食べるのも幸せなのだが、特に好きなのは紅茶の香り「グッズ」だ。

トリートメント、ヘアオイル、ボディミスト、練り香水、ハンドクリーム…

持っているものを思い返すだけで、満たされた気持ちになれる。

先日紅茶の香りを大量入手したときは、「紅茶になりたいの！？」と注意された。

なれるもんならなりたいわ。

嬉しいとき、悲しいとき、とにかく紅茶をに触れて気分転換をする。

もし未だ見ぬ私の恋人が、私の機嫌をとろうと必死になっていたら。

そのときは、紅茶のプレゼントをすすめてあげてほしい。

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