―06― 続・妹と実験
俺は新しいガラス瓶を用意し、中に火のついたろうそくを入れ蓋をする。
当然、火は燃え続けたあと、短時間で消えた。
昨日の実験で証明した通り、ガラス瓶の中の空気が減っているはずだ。
そして、今やった工程をもう一度繰り返そうと、俺はもう1つのろうそくに火をつける。
それをガラス瓶の蓋を開けて、中に入れる。
ボシュッ、と火が一瞬で消える。
てっきりちょっとの間ぐらいは火がつくかと思ったが、予想が外れて一瞬で火は消えた。
一回目の燃焼でガラス瓶の中の空気が消費されたせいで、二回目は火を全く維持ができなかったというわけか。
しかし、ガラス瓶を見る限りまだ空気はあるな。
なんですぐ火が消えたんだ?
俺は悩んだ。
もしかして、燃焼に必要な空気とそうでない空気の2種類があるのではないだろうか?
仮説を立ててみる。
しかし、魔導書には空気に種類があるなんてことはどこにも書かれていなかった。
謎が深まるばかりだ。
「ねぇ、なにしてんの?」
妹が話しかけてくる。
「見てわからないか? 魔術の実験だよ」
「はぁ? どこにも魔術使ってないじゃない」
ふむ、やはり理解してもらえないか。
まぁ、いい。
「体力は回復したのか?」
「まぁ、したけど」
「それじゃあ、このガラス瓶の中に〈
俺はさきほどプロセルが〈
俺の予想ではガラス瓶の中は燃焼に必要な空気が減っているため〈
「〈
妹はなんの不自由もなく〈
密閉されたガラス瓶の中では〈
あれ? 予想が外れた。
「なぁ、さっきより〈
「別に。変わらないけど」
プロセルは投げやりな感じで答える。
「ねぇ、消してもいい?」
「ああ、いいけど」
プロセルは〈
「なぁ、もう一つお願いをしていいか?」
「これで最後にしてよね……」
「ありがとう。今度はこっちのガラス瓶の中に〈
俺が指し示したガラス瓶はさきほどろうそくの火を入れていたほうのだ。
さっきろうそくを入れるときに蓋を一瞬だけあけたが、それ以降は閉めたままなので、このガラス瓶の中は燃焼に必要な空気がないはずだ。
「〈
なんら問題なくガラス瓶の中に〈
は? どういうことだ。
俺は身が震える思いをした。
今度は〈
やはり、ボシュッ、と火は消えた。
今度はさっき、プロセルに〈
このガラス瓶には、まだ一度もろうそくの火は入れていない。
今度は問題なく火は輝き続けた。
これから導き出されること。
火に空気が必要。
だが、〈
つまり、魔術で作られた火と現実の火は全くの別物ということだ。
それから俺は〈
例えば〈
対象を燃やす魔術だが、この場合空気が必要なのかどうなのか?
結果、〈
「ねぇ、もういい。疲れたんだけど」
妹が怒り気味にそう言う。
「ありがとう。俺はもう帰るよ」
そう言って、俺は荷物を手にして立ち上がる。
俺はショックを受けていた。
〈
それが、もしかしたら不可能なんじゃないかという現実に直面したからだ。
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