下−34 哀愁のレイピア


昨日の夕飯前の試合は、なんと言ってもタカシの演技が見どころだった。

皆期待はしていなかった。どーせちゃっちゃと終わっちゃうと思っていた。いた、、、


が、熱戦半時近く。親父さんスタミナ切れで修了。

タカシ伊達に教官やってないことを証明した?


ーー


これには見ていたABC+アラタがびっくりどころか愕然とした。

「あれ?誰かと入れ替わったの?」

「イサムさんじゃない?んなことできるの」

シュン!

「ちなみに俺は今来たところだが?」イサム

・・・・・

「「「「んじゃ・・・」」」」

「ああ、タカシ本人、本物だ。うん、俺もびっくりだね?。おもしろいんで最後までみていく、おっさんめんどくさいんで気づく前に帰えるけど」

「・・・・・・・・」×4


「クッ、、、」とか言いながら歪めた表情とか、演技が出来る子になってるタカシ。

天然だと思ったら厨二系だったの?一人でいろいろやってんのかな?にしては普段魔法使う時にアレな言葉を吐かないし、、恥ずかしい、、を知っている厨二?


(タカシ、ここは異世界だから、厨二的なセリフとか許可されてんだぜ?)イサム。念話で。

(え!そうなんですか!!)タカシ

(おう、特に勇者にはその特権で、どんなセリフでも容認されるんだ!カッコイイセリフを頼むぜっつ!!!)


「くっ、、こ、ここまで強いとは、、、あんたを侮っていたぜ、、!!」タカシ


何いきなりクサイセリフ吐き出したの?と不思議がる4人。

だが舞田と吾郎は今までのタカシを知らない。

ワクワクしだすイサム♪


A子父の方は、もう喋れないほど体力削られている。

よってタカシの独壇場。セリフの、な。


「俺は、、勇者として魔王との対決を夢見て来たが、、、こんな、こんな僻地の僻地のビンボ街で、俺は、終わるわけには、、・・・・

・・・いかないんだあああああ!!!」

変に長いセリフのあとで途端に動きが良くなるタカシ。が、実際はほんのちょびっと力出しただけ。

そして魔王との対決はとっくに終わっているし!


腕一本で剣を繰り出しながら、残った手の人差し指で鼻の穴をほじりながら、、

「お、、おれはっ、、こ、、こんな、、どいなか、、で、、ま、まけたらい、いけないんだな」

途中から裸の大将にスイッチオンしたタカシ


シリアス人格は数分と持たなかった。ウルドラマン(猫耳三毛)より早し!!


あ、、

とタカシが木剣を放り投げてしまった。握りが甘かった、という感じで。

でも「ぜってーわざとだ」と思うABC+アラタとイサム


で、剣の代わりに手刀を使う。片腕だけ。

勿論空いた手の人差し指は鼻の穴。


ゆっくりおやじさんをおいつめ、気づくと200mほど先にあった壁際に。

どんどんタカシの手刀は速くなる。

「もう見えないんですけど、、おやっさんすげーな?あれ受けてんだ、、、A子より強んじゃね?」イサム

「ああ、どーしても勝てねぇ、、」A子


あんななりでも、すげーんだなぁ、と見直す一同。

でも

「どーしてそんな強いのに、あんなんなっちゃったの?」C子。


「うむ、、不明だ。あるひ、突然あーなった」A子

突然変異体か。


(あれだな、、上のどっかのバカが、戦国時代か江戸時代初期あたりに数日連れてったんじゃねーかな?)と思うイサム


おやっさんの木剣が手刀に削られてレイピアになったところで、おっさんの腰が崩れ落ちた。

「はい!修了です!」舞田レフリー。


A子駆け寄り、、、、おっさんのレイピア木剣を奪う。

「・・・すっげぇええ!!」A子

「え、、A子、、そ、それは、、わしの、、、」

「え?いーじゃん、、、俺がもらうよ!」

あああっ、と、届かない手を伸ばし、、・・・、さらに崩れ落ち地べたに寝転がるちょんまげおっさん、涙流しながら、、


A子、鬼だな、と全員が思った。


ーー


練習試合の翌日朝食後。


ちなみに朝食は目玉焼きと味噌汁とご飯。昨晩は焼き魚と漬物と味噌汁とご飯。A子は豪勢だなと言っていた。

昔は魚が無かったそうだ。漬物と味噌汁とご飯、、、

お箸を使って食う。なのでBCは食いにくい。舞田と吾郎は草履人なので慣れている様だ。



食後、テラスで番茶をすする一同。


「昨日のレイピア、どうしたの?」C子

「あ、ああ、松ヤニ塗って乾かしている。壁に飾るんだ!」嬉しそうなA子。

「だって、木製レイピアなんか見たことナイだろう?」


それだけで、おやじさんから奪ったんかい!!

親父さんは”勇者と剣を交じあわせた記念”として持っていたかったのは確かだったのに!


これ、考え直したほうがいいかな?

と一同の心の中で「おやじさん被害者説」が首をもたげ始めだした。



一休み後、皆体力強化し(除く吾郎)、王都周辺の村々をまわった。吾郎、生身で平然と付いてくる。

昼は、少し大きめの村に食堂があったのでそこで蕎麦食った。A子の蕎麦好きの原点か?

この領地、何気に蕎麦屋多いんじゃね?まぁ安いからね。そば、うどんは。



午後も周辺を周り、最後に魔獣の森に少し寄った。

「A子、魔獣って、どの程度?」B子

「えーと、、どーだろ、よわっちいぜ?」A子

・・・・・

「まぁ、、うちの魔獣の森よりはってことね」B子

そういえばギルマスはどうしたんだろう?


ギルマスは駐屯地に泊まり、今日は隊長達と朝から魔獣の森に来て調査していた。程度の低い危険性と判定を出し、1−Aには「出張所」を試しに作ってみることで隊長と合意。今は内容を話し合ってる頃だろう。


まぁいいや、とギルマスの事を放置したB子。薄情w


「ぼくらが根絶やしにしてもいいけど、、」アラタ

「いや、折角の資源だ。有効に活用しましょう」舞田。

だよね。



んじゃ今日はこの辺で、ということで邸に転移。

風呂浴びて街に繰り出した。

せっかくの外からの者達が金をおとさんでどーする、的な。

なので豪遊!www


と言っても、店に居た客ども巻き込んでどんちゃん騒ぎを数店で繰り返した。明け方まで。

数店、というのは、店の酒が無くなると、他の店にみんなで移動したから。

なので最後には店にはいりきれないほどで、、店前の地べたに座って酒盛りの者達多数。

”姫が冒険者仲間を連れて帰ってきた!”てんで、領民達も大喜びだった。


「(あんなんなのに)領民に愛されてるんですねぇ」アラタ

「(あんなんなのに)そうよねー、すごいよねぇ、、」C子

「(あんなんなのに)結構人望あるんですね、これはいいことですね」舞田



明日はそのあんなんなのの似たような仲間たちが集まる日だ。

そんなんな奴等、と、どういう話が出来 う る のだろうか?

まー、どーにかなるかもしれない、と期待するかもしれない。

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