下−16 朝から酒臭ぇ若い女性って、どうよ?
馬車は夜に入って次の街に着いた。
「ここいらって、あまり村ってみないな?」A
「ええ、ウチラの国の、あそこが最後だったね」C
「土地柄?、、魔物が多く出るから、とか、野盗が多く出るから、とかかな?」B
ふーん、、、
確かにこの小さな街の外周を、頑丈な木の柵が取り囲んでいた。
狼などは飛び越えることができそうだが、いないのだろう。
御者から聞いたこの街で唯3の宿屋。数件離れて2軒、通りの向かいに1軒。
「どれにする?」A
「んじゃ、3人別個に様子見て、ここに戻ってこよう」C
「「OK!」」
タカシとアラタはBとCについていく。なんとなくそうしたが、どうみてもAは威嚇がすごいんで護衛は必要ないだろうw
A子の場合
「ちーっす!」
「いらっしゃい、お泊りですか?」主人らしき中年男性
「うん、3人と2人、とりあえずいくら?で、部屋見せて」
「はいはい、、3人部屋ひとつ、2人部屋ひとつで・・
それから部屋を見た。
まぁ、普通。
風呂は外に銭湯があるという。
「へぇ!小さな街なのに!」
「ええ、ここいらは皆風呂好きですからね」
いいね!!
飯食っている客がいたので見たが、普通そうだった。
「んじゃ、仲間と話して、決まったらあとでくるわ。」
B子の場合
「こんばんは。おじょうちゃん、おうちの手伝い?」B
「いえ、奉公人です」
「あら、、、、、、偉いわね」
「まぁ、うち貧乏だから」
だがしかし!!そう言った少女の顔を見て気の毒そうなB子の表情に、一瞬黒い笑みを見せる少女を見逃さなかったタカシ!!
値段を聞いて、部屋を見て、食堂の客の食事を見て戻るB子とタカシ。
C子の場合。
「こんばんは。部屋空いている?3人と2人だけど。」
「ああ、あります、、あれ?今もう2人部屋2つしかないや、、いい?」
「んーー、、とりあえず見せて」
・・
結構清潔そう。桶の水も汲まれたばかりのようだ。
ベッドも広めで、くっつけりゃ3人雑魚寝できそう。
食事は、、結構食堂混んでて、いろいろ皆違ったものを食べていた。
3人は集まって
「ふつー」A
「普通、だけど、、ちょっと黒いかな?」B。
B子は見ていなさそうで、しっかり少女の黒い表情を見ていたのだ!!全くその気配を見せなかったB子。
タカシはそれに慄いた!!
「んじゃ、私の行った宿にきまりね。2人部屋2つしかないけど、ベッド広めなのでつっくけりゃいけるし、メシウマだと思う。客が多く皆違うもの食べていた」C
「決まりだな」
「そうね」
タカシとアラタには決議権は無いようである。
5人が通りの向こうに行くのを影で見ていたあの宿の少女
「チッツ」
「こりゃ、メシウマだな!!」A
「うん、やっぱ正解だったね!!」C
「お酒は後でね、食べたら銭湯行くからね!」B
もくもくと食べるタカシとアラタ。
女が多数派になった集団の男なんぞこんなもんである。
銭湯
小さいけど、浴槽は3つもあり、熱い、普通、温めの薬湯、となっていた。
「ふぅー、、なんか、、、疲れますね?」アラタ
「そうお?」鈍感なタカシ。オトクな性格だな。
「ま、キニスンナ。俺らは一緒にいて、、、あれ?どーすんだっけ?・・・」
「修行の旅についていって、なんか手伝うんでしょ?」アラタ
「あー、そーだったっけ。そうなんだぁ!」
・・・
外の縁台で女性陣を待つタカシとアラタ。
こっちは寒くなりそうもないですねぇ、、とつぶやく。草履は少し高地になるので冬は雪こそふらないが、10度を割る程度の寒さだ。口から出す息が白くなると10度以下、鼻のそれは5度以下、が目安になるらしい。
ほどなく3人は出てきた。A子が早ぶろなので、皆つられたり、A子にせっつかれたりして早めになるのだ。
で、
当然、風呂屋の近くには飲み屋がある。正確には昼間は食堂、夜は飲むのがメインなおみせ。
だから食事もあるし、だいたい飯もまずくはない。旨い店も多い。
店店から漏れる酒の匂いにA子が我慢出来ないわけがなかった。
「ここもあたりだな!!あれだな、ここは小さい町なのに、宿も食堂(飲み屋)もいいな!!」
ごきげんなA子。こいつ、、旦那になれる人材窓口すっげー狭くね?
当然食うより飲みまくり。
「A子ちゃん、あまり飲みすぎると明日くさくなってるよ?」C子
「あ、、、気をつけよう、、、あ、おばちゃーん!酒がもうなくなったーー!!」A
・・・・・
言葉が通じないやつだと諦めるC子。
B子はいつものように自分のペースで飲む。でも、やっぱ飲んでて寝ちゃうんだよね。
自分のペースの意味がない子だ。
C子はそんな2人をいつものように白い目で見ながら、ちびちび残りを片付け、ほとんどきれいになったら、
「ほら、二人を運んで!役得だよっつ!!」
と、ブラックC子が使役2人を蹴起こして使役する。
酔って床に寝込んだタカシとアラタは蹴起こされ脳も働かずゾンビのようにC子の言うことだけに従い動く。
で、宿の部屋に運んだらC子に部屋から蹴り出され、廊下でそのまま寝る。
かわいそすぎだよね?
こんなんが日常運転。
翌朝は馬車に間に合わず。
「ま、飯旨いから、いんじゃね?もう一泊くらい」A
馬車が出た後じゃどうしようもないしね♪
「んじゃ、ゆっくりできるんで、酒抜きに銭湯だ!!」A
・・・・
いくつもの白い目も気にしないA子。
でも、その白い眼の持ち主達も同罪なんだがね。
単なる飲み旅行になるのか?おまえら平成のおっさん連中か!!??
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます