中−20 イサムの回想 初めての異世界


ダンジョン入り口のギルド出張所終了は、ダンジョンに来る冒険者達がベテランレベルが大半だったということもあって、ほぼ皆に理解された。死亡者多数という件が知れ渡っていたのだ。



朝、いつものごとく朝食後、食堂の隅で茶をすすっていると、

「ここが出来て以降、冒険者の死亡案件はほとんど無くなっていたから、あれは大事でしたね。」

と銀翼のリーダー翔太が茶を持ってきて隣のテーブルに座りながら言う。


「そうなの?それまでは結構あったのか?」俺(イサム)


「ええ、新人連中で無謀にも魔物の森に突撃するのが少なくなかったですから」


以前基準なら、魔物の森はベテランに入りかけ以上のパーティーくらいでなければかなり危険だ。

なので、翔太の言うことが、新人達の自殺行為、ということがわかる。


「そいつらバカなの?ギルドでも危険だって注意してるんだろ?」

「ええ、でも聴かない。自分らが弱い、経験が無い、ってことを理解できるのときって、たいてい死の間際ですよね?」


そうだ、翔太達ベテランは、そういう危機を何度も生き延びてきたから、今ここで生きている、生き残っているのだ。


「だから、ギルマスは王都での新人冒険者訓練を大歓迎したんですよ。訓練で、新人たちが自分達の無能さを理解し、どうやれば勝てるように成るか?死なないように成るか?を知ることができる。

あの”逃げられなければゴブの糞になる”は、ベテランでも効きますよね、ベテランだからこそ効く、かな?」


「まぁな、、俺も最初は・・・・・」

へ?

なんか不思議なものを見るような目の翔太。


「あ?」俺

「いや、、イサムさんも、、新人って、あったんっすか?」翔太

・・・・

「あたりめえーだろう?、俺を一体何だと思ってんだ?」


「・・いや、、、よく考えれば、そう、なの、、かな????」翔太


つくづく失礼だな!!

「あのな、俺だって一番最初に召喚されたときって、全く何も知らなかったんだぞ?この世界のことも知らなかったし、冒険者?なにそれ美味しいの?レベルだ。剣なんか握ったことすら無いし、魔法?見たことねーよ生まれてこのかた、っってだったんだぞ?」


「・・・んじゃ、、何がどーしたら、、こんなばけ、、んっほん、、こんな神みたいな狂者いや凶者、じゃねぇ、強者に?」


まじ天然?わざと?

そいえば、こいつ、最初っから何気に天然だったな?・・・

、、・・・・・この世界の奴等、、悪党も含めて、、天然入っていない奴って、、、居なかった、、な?


”神仕様”だっつ!!!


ここ作った奴って!!!


まー、オレの好みだけどな♪


「そりゃー、時間かけて強くなったからだろ?しかも、死んでも何度も何度も召喚され、毎回毎回どんどん強くされていったからなーほぼ強制的に、立場上な。」


「立場、、そーいや、、元勇者だったんでしたっけ、、、その影すら消え失せるほどっすよね今はもう」

・・・??、、どーいう意味で言っているのだろう?、解釈に悩むな?


「一番最初のときのこと、聞いていいっすか?」

「いいが、話が長くなるぞ?」

「ええ、今日はダイジョブっす、指導の仕事無いっすから」

そうか、、

・・

なつかしいなぁ、、



ーーー



気がついたら見たこと無いような場所に立っていた。

見回すと、おかしな格好をした奴等がたくさん。

で、


「ようこそ!勇者よ!!」と、逝かれた奴等がよくするような格好、焦げ茶っぽいフード付きマントを着て、逝かれたデザインのでかい木の杖を持って、金髪の、、、お?よく見ると、、すんげえ美人さん?んー、、でもまだおねーさんじゃないな?俺と似たような歳?ガキかよ、、、

その頃、俺はおねいさん傾向が強かった。


その少女の後ろには、同年齢っぽい子たちや、おっさんまで10人位、そのフード仲間がいる。

そいつらを正面としたら、左右の壁際に、普通の演劇で見そうなへんちくりんな格好のおっさん連中が左右に5−6人、で、甲冑?へぇ?バカなのかな?の連中がそれぞれ5−6人ずついる。



あ、何言ってるか、よく聞いてなかった、、

「ごめん、もー一回言って?聞いてなかったわ、、」俺

・・・

「あー、うっほん、、、、、よ、、、ようこそ!勇者を!・・・

真っ赤になったその美少女

(ぷ、間違えてやんの、、なんか二回目すっげー恥ずかしがって言っていたな、恥ずかしいセリフなんだな?www)


「あー、いいや、なんかごめん、無理させた?」俺

「・・・い、いえ、、、だいじょぶです、、、」消え入りそうな美少女、、薄幸というよりは発酵くさいっぽい?


「まーいーや、俺、何もわかっていないから、全部説明頼むな?事実をヨロシク!、、でもここで立ち話ってのもなんだから、あんたの事務所とかの応接セットにくつろいで茶でも飲みながら話を聞きたいのだが、いいか?」


「え、え?え?、、あ、はい、、はい、、、なんでしたっけ?」美少女


・・・・・・・・・・・・・・




その少女は王宮付導師長だそうな。

「この国、いえ、周辺の国々含めてもその中で秀でて魔力が強いのよ♪」だそうだ。

自称だからホントはどーなのかは知らない。確認するすべも無い。


「魔法、見せて?」俺

「うーん、、んじゃ、、えい!」

 ポン!!

彼女が俺に鏡を向ける。

俺の頭の上がお花畑に?


「ほほう、、なるほど、、俺もできるか?この魔法、使えるか?」

・・・うー、、悩む美少女

ポン!手を打つ美少女


「こう、、」

俺の背後から左右の手に同じ側の手を重ねるようにして、

「気、魔力を感じて、、」

「・・あ、、、なんか、来た?」俺

「へぇ、、あんた、強くなるかもね」

勇者って言ったよな?おまえ最初に俺に?


「で、あぶだかぶやこんまはりくまやこんてくまーく、と唱えながら、実行したい魔法の情景を思い浮かべるの、動画で。静止画だとイマイチ威力が出ないわよ?」

何?この世界に動画とかあるの?みてみてー!!


「何かんがえてるのかわかりたくないけど、ちゃんとやりなさい?」

こ、こいつ、、、?


「 あぶだかぶやこんまはりくまやこんてくまーく、、」

プッwww(美少女)

あ、こいつ!!!

(こいつの頭がもっさもっさなお花畑にっつ!!!)俺

ぼふん!!!!


きゃっつ!


「ふっふっふ、、うそくせー呪文を言わせてた罰だ!!」

俺がいる世界でも知っている最もでかい鳥の巣頭よりでかい花畑頭だっつ!!!


「うー、、重い、、、思ったよりも頭が重い、、、」美少女

「ほう、仕返しされるとはわかってたんだ?」俺

「まーねー、でも出来ても一本二本だと思ってた、、、やるわね?あんた、、」


ほっほっほ!舐めるなよ?って、自分がどの程度なのかも全くわかってませんが何か?


「まーいーわ、、」と、ソファに座って気にせずに茶を飲む美少女。

あれ?

「ふんwお茶はね、頭を動かさす飲むのよ?だからこんなモッサモッサでも大して影響無いの」


ふーん?

と、俺は鏡を美少女の目の前に


ブーッツ!!!!!


盛大に、口に含んだ紅茶を全て吹き出す!!!鼻からも出た!! 美少女台無しっ!!!♪ww


自分をみてコレほど受けたヤツって、初めて見るな。


「まぁ、、ここに来た甲斐が、あったかな?」


ーー





「翔太、俺の回想は一時中断な」

「ええ、なんか来ましたね?」翔太


程なく目の前に草履姫が現れた。

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