第204話歩兵
「ほへえー。よく撮れてるっすねえ。ほへえー」
「田所のあんさんの撮ったやつもすごいですよ。ほへえーです」
「でもこれは『藻府藻府』の手柄と言うっすか、相手の『宇佐二夜』でしたっけ。えーと、ラーメンの…、大盛りじゃなく…、セットでもなく…」
「マシマシですか?」
「あ!そうそう!それっす!マシマシ!マシマシのポン刀を宮部っちが『真剣白刃取り』をしたところ。あれなんか映画のシーンみたいっすよ。まあ実際には『種明かし』があるんすが」
「え?そうなんですか?」
そして宮部っちの『真剣白刃取り』の種明かしをする田所。それを聞き、なるほど!と思う飯塚。と、同時に、いやいや!それでもすごいですよー!だって相手は本当の刀ですよ!?日本刀ですよ!?僕なんか手に『あまてらすのこて』や『げんじのこて』をはめてても無理ですよー、と思う飯塚。
「まあ、『取れ高』としては最高なんでしょうが。これは使えませんね。未成年のものですし。宮部っちの『族チューバー』に回した方がいいっすよね」
「そうですね。僕もこれはちょっと『仁義チャンネル』では、『ん?』となりますんで」
「じゃあこれは編集しときますんで。後で飯塚ちゃんから宮部っちに渡しといてくださいな」
「はいな!あんさん!」
そして速攻で昨夜の動画を編集し田所へ渡す飯塚。
「え?もうできたんですか?早いですね」
「ええ。自分もかなりスキルを上げるよう頑張ってますんで。時間は一日二十四時間と決まってますんで。『じょぶちぇんじ』を繰り返して、やらにゃならないGセブンはやたらありますんで」
へえー、学習能力が高いなあ、田所のあんさんはと思う飯塚。と、同時に、『じょぶちぇんじ』からの『やらにゃならないGセブン』…、神内さんの教えは本当に幅広いよなあ、社長で小学生だもんなあと思う飯塚。と、同時に、他に何をやってるんだろうと思う飯塚。
「田所のあんさんってほとんど一日中パソコンに向かってますよね?夜遅くまでやってるのもたまに見ますし。れこさんとか大丈夫ですか?たまに帰って会ったりはしなくていいんですか?」
「あ、レコですか?あれはもう別れました」
「え?」
「女にうつつを抜かしてる時ではありませんからね。今は住み込み状態でいろいろ教わってますんで」
れこさんと別れたんだ…、と思う飯塚。と、同時に、田所のあんさんのやる気はすごい!自分も負けていられない!と思う飯塚。と、同時に、でも彼女欲しいなあと思う飯塚。
「そうなんですね…」
「それより最近よくユーチューブを見て勉強してるんすが。今は『アウトロー系』が流行ってるんすか?」
「ええ。そうなんですよ。田所のあんさんみたいな元組関係の方や怖そうな方のチャンネルはすごく人気がありますね」
「いや…、それで動画を見るんですが何が面白いのかさっぱりでして…」
そうか!田所のあんさんは『アウトロー』どころかバリバリの『肉球会』でブイブイいわせてた人なんだ!他の『肉球会』の方たちもそうだけどいまいちピンとこないのも分かる気がする!と思う飯塚。
「まあ、田所のあんさんは最近までバリバリ現役でしたんで。料理人が料理人の動画を見ても『へ?当たり前のことじゃね?』と思うのと似たようなものかと。逆にどういうのが面白いと感じますか?」
「そっすねえ。『保険屋さんのためになる保険講座』とか『芸人さんが毎回いろんなゲストを呼んで裏話を語るチャンネル』とかはすげえ面白いと思うっすね」
ああ、なるほど…、確かに興味があるものは面白く感じるよなあと思う飯塚。と、同時に、自分も『ガジェット系』の動画や『パソコンやゲームを改造おじさんチャンネル』とかすげえ好きだもんなあと思う飯塚。
「なるほど…。確かに『アウトロー系』も今はブームなのかもしれませんし、個人的に『やりすぎ感』は覚えますね。人によって見たい動画やチャンネルはいろいろありますからね。『仁義チャンネル』も幅広くを心掛けていきたいですね」
「そのためには企画会議も大事っすよ。たなりん君いいっすねえ。たなりん君は次いつここへ来るんすか?」
宮部よりもたなりん株が高騰している田所市場。そして早速宮部に昨夜の動画の編集が終わったことを伝える飯塚。
この後、宮部がバズる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます