第171話極道クラウドファンディング
「それで飯塚の兄者や田所さんはユーチューバーでありますよね。どんなチャンネルをやっているでござるか?たなりんもチャンネル登録するなりし、高評価するなりよ」
「いや、それがリニューアルと言うか。まだ動画の方は出してないんだよね」
「そうなりか。リニューアルですか?でもあのコスプレ動画は…、たなりん好みのいいセンスは感じるなりですが」
「『ですが』かあ…」
「いえ、田所さん。これはたなりんの一意見であります。それより『ユーチューバー』の世界が甘くないのはたなりんでも知ってるでござるなり。今は子供の将来なりたい職業ランキングでも常に上位に来る憧れの職業でござる」
「え、そうなんですか。たなりん。飯塚ちゃんも知ってました?」
「ええ。やはりユーチューバーの世界は『一攫千金』の世界ですからね。簡単に大金を設けることが出来て誰でも簡単にチャンネルを開設できますからね。カリスマユーチューバーはみんな好きなことをやって自分のオフィスも構えてて仲間内で楽しそうじゃないですか。そういうのがいいんじゃないですかね」
「へえー。そうなんですね。逆に言えばそれだけ『競争率』も激しく厳しい世界なんすね」
「そうです。だから僕も底辺ユーチューバーだったんです。僕みたいな人は一杯いるんですよ」
「あれ?田所さんと飯塚の兄者は最初から一緒にやってたのではござらんのですか?」
「ええ、たなりん。自分が飯塚ちゃんに無理を承知でお願いし。一緒にやるようになったんですよ」
「田所のあんさん。今更それはいいじゃないですか」
「いえいえ。自分は『ユーチューバー』の知識はまったくありませんでしたからね」
「え?田所さんは今まで『ユーチューバー』の知識ゼロだったなりですか!?」
「そうですよー。それを短期間で飯塚ちゃんからいろいろ教わりまして。今までパソコンも触ったことがなかったのが今では『動画編集』まで出来るようになりましたよー」
「それじゃあそれまで田所さんは別の仕事をされていたのでござるですか?」
「そうですね」
「やっぱり『一攫千金』、『楽して大金ゲッチュ』を夢見ての『ユーチューバー』でござるですか?いいですなりね。たなりんも一緒に『学生ユーチューバー』として成功して性交で煩わしい人間関係のない生活を目指すなりよ!」
「あ、でもですね。自分はそんな『大金を楽してゲッチュ』というより『手堅くコツコツと』と言いますか。『安定した収入を動画で』を最低目標として。宮部っちみたいな『族』あがりでも真面目に頑張れば『ユーチューバー』として食っていけるってことをですね」
反社である暴力団『肉球会』が新しいまっとうなシノギとして『ユーチューバー』を目指しているとはなかなか説明しづらい。そこでたなりんが意外なアイデアを出す。
「食べていくレベルなら『クラファン』とかでもいいでござらんか?」
たなりんの言葉に飯塚と宮部が反応する。『クラファン』の言葉の意味が分からない田所だけがきょとーんとしている。
「『クラファン』!そうか!その手があったか!」
「たなりん。すげえよ!そのアイデア!」
「そうなりか?いやあー、この関羽たなりんにかかれば軍師いらずでござるよ」
「え?たなりんは『関羽』なんすか?」
いろいろ聞きたいことが山ほどあったけれど、とりあえず、え?関羽は健司が…、の疑問を解消したい田所であった。
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