第127話まとめサイト
「新藤よお」
「あ?」
二ちゃん、本名東山一(ひがしやまはじめ)が新藤へ声を掛ける。ちなみに二ちゃんと呼ばれている理由は頭の宮部が一郎であり、別に『はじめ』でもよかったが二チャンネルが好きだからそう呼ばれるようになった。二ちゃんの情報は『まとめサイト』からのものが多い。
「あんなデカい『大学病院』に入院するかねえ。忍って金持ちだったっけ?」
「あ。どうせ『模索模索』の金だろ。あいつらかなり稼いでるらしいからな」
「それよりさっさと終わらせちまわねえのか。俺、この後仕事なんだよなあ」
二ちゃんがスマホを見ながら新藤に言う。
「そうそう。俺もこの後現場なんだよなあ。ったくよお。こちとら額に汗して真面目に稼いでるってのに『模索模索』の連中は遊んで『金持ち』かよ。そら『ぶち殺さねえと』すっきりしねえよなあ」
コージこと草薙浩二が言う。
「うるせえぞ。お前ら。二ちゃんもスマホばっか弄ってねえで真面目にやれや。宮部に『失敗しました』なんて報告は出来ねえぞ。それにお前ら『金』が欲しいなら『模索模索』から好きなだけ巻き上げてやれや。それなら全然いいんじゃねえの?」
「お!いいねえ!」
「よし!頑張んべ!」
「で。二ちゃんよお。中の様子はどうだった?」
「ああ。やっぱ予想通り『ガード』がきっちりだったわ。しかしよお。忍一人にあれだけ派手に『ガード』つけるかねえ。あいつって『模索模索』でそんなにえれえの?」
「まあ、間宮の野郎の腰巾着だったしな。クソよええが『筋もん』とつるんでるし。調子ぶっこいてんだよ。『模索模索』自体が」
「で?どうすんだ?新藤は『面』が割れてるしよお」
「だな。忍が俺のツラぁみりゃあ意識不明でも騒ぐだろうな」
「じゃあ俺とコージで行くか?」
「いや、二ちゃんもさっきの様子見で面が割れてんべよ。いいよ俺ひとりで行くから」
「あ?コージ一人でやれんのか?相手は重症中だがそれを固めてる『ガード』は一筋縄じゃいかねえぜ」
そんな二ちゃんの言葉を制しながらコージが言う。
「大丈夫大丈夫。一応確認しとくべ。二ちゃんよ。中の『ガード』に元うちのメンバーはいねえんだよな?」
「ああ。元うちのメンバーはいなかった。まあ、個室だったんで病室の中までは見てねえが。間宮はそういうキャラじゃねえし、他の元メンバーもそういう奴はいねえだろ?見ねえ顔が三人だったから『模索模索』か『蜜気魔薄組』の組員じゃね?まあ、本職を『ガード』につけるほど間宮も馬鹿じゃねえだろ」
「おっけ。じゃあ行ってくんべ。あ、新藤よお。ちょっと耳貸してくれる」
「あ。なんだ?」
そして新藤に何かを耳打ちするコージ。それを聞き思わず笑う新藤。そして言う。
「おっけ。それでいこう。じゃあこっちのことは任せとけ。おい、二ちゃん。俺らはこっちだ」
「え?おい。なんだよ。俺にも教えろよ」
「ああ、教えてやるから一緒に来いよ。じゃあコージ。頼んだぜ」
「あいよー」
新藤の部隊が二手に分かれる。
一方、その頃。
「あ?もう一つの半グレ組織を作るだと?」
「ええ」
「てめえ…。何考えてやがる?」
「伊勢さんが言うようにこのまま『チンタラ』やってても伊勢さんや『蜜気魔薄組』さんのお手を煩わすだけでしょう。だからです」
「説明になってねえぞ」
そう言って伊勢がタバコの煙を吐き出す。
「『肉球会』さんは…、なんか堅気の皆さんからとても感謝されているそうで」
「はっ、あそこは時代錯誤の集まりなんだよ」
「でもリスクはありませんよね。まあ、それでも『反社』に違いはありませんが」
「だから何が言いてえ」
この後、間宮から『次の一手』が語られる。
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