第65話『サービス♪サービス♪』
ラブホテルにこそこそ一人で入り、部屋を選ぶ飯塚。そして部屋の番号ボタンを押し、フロントでお金を払う飯塚。
「お客さん。休憩ですか?お泊りですか?」
うわー、この言葉いつも聞くなあ…、と思う飯塚。彼女がいたらこんなところ来ませんよ!と思う飯塚。あ、でもAVとか見るとラブホテルでのプレイっていいと思うよなあーとも思う飯塚。と同時に、いつもは時間を気にするけど今日はオールナイト!お泊りだぞ!と思う飯塚。
「あ、お泊りでお願いします」
そしてお金を払い部屋のキーを受け取る飯塚。彼女がいない割にはスムーズに部屋へと移動する飯塚。そしてあらかじめ用意してもらった他人名義の携帯から違法デリヘルに電話をする飯塚。店の電話番号が080番号の時点ですごく怪しいと思う飯塚。
プルルル、ガチャ。
「はい、『グッドフェラーズ』です」
違法デリヘルのくせにパンチの聞いた店名だなあ…と思う飯塚。と同時に、あれは名作だよなあ、また観たくなったと思う飯塚。
「あ、六時に『えりな』さんで予約しました飯田です」
「飯田様ですね。はい、先ほど確認電話をいただきました『えりな』さんで六時からオールナイトのお客様ですね」
「はい」
「ホテルのお部屋はどちらになりますか?」
「はい。ホテル『リバーサイド』の201号室です」
食事も映画も同じです!と思う飯塚。
「『リバーサイド』の201号室ですね?それではお部屋にお電話差し上げます」
そしていったん電話を切る。そしてすぐに部屋の電話が鳴る。
プルル、プルル。
いつも聞くコール音だ…と思う飯塚。
「はい。もしもし」
「飯田様でしょうか?」
「はい」
「それではお部屋の確認が取れましたので『えりか』さんをご案内いたします。料金がご予約料込みで152000円となります」
「はい。お願いします」
そして受話器を置き、いろいろと確認をする飯塚。『グッドフェラーズ』に電話する前にいろいろと部屋に仕掛けはすでにしてある。けれど念には念を。そしていつもエッチなお店を利用する時独特の緊張感で待つ飯塚。
ピンポーン。
「はーい」
急いで部屋の入口へ行き、ドアを開ける飯塚。
「『えりな』です。今日はご指名ありがとうございます。よろしくお願いします」
かわいい!神様ありがとう!と思う飯塚。いかんいかん!これは仕事!ちゃんとするんだ!ちゃんと!と思う飯塚。
「あ、ど、どうも。初めまして。どうぞ。お部屋の中に」
「失礼します」
悪徳デリヘル『グッドフェラーズ』の女性への教育は素晴らしいじゃないか!と思う飯塚。でも待て待てと思う飯塚。これまで最初の印象は見た目以外、どの子も愛想はよかったじゃないか、肝心なのはサービス!と思う飯塚。そして心の中であの声で『サービス♪サービス♪』とみさとさんが笑顔を見せる。ダメです!みさとさん!逃げませんし、次回予告もいりませんから今は引っ込んでてください!と思う飯塚。
「あ、じゃあ先にお金を。これでちょうどです」
そう言って152000円を『えりな』ちゃんに手渡す飯塚。
「ありがとうございます」
そして十七枚の札を萬田銀行のように数える『えりな』ちゃん。え?そう数えるんですか?と思う飯塚。いや待てよ、銀行勤めの人はああいう数え方をするんだよねー、『えりな』ちゃんの昼職は『銀行員』なんだ!きっとそうだ!でんじゃぶーそうだ!と思う飯塚。
「あ、ちょうどあると思います」
「はい。ございました。それじゃあちょっとお店に電話しますね」
そしてお店にお金を受け取ったことを伝える『えりな』ちゃん。
ここから飯塚の長い夜が始まる。
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