第63話「おっよしになあて♪お茶ぁティー♪」

『企画書』


「悪徳デリヘルを退治してみた!」


・普通に電話をかけて女性をホテルに呼ぶ


・そこで強引な『本番強要』をしてみる(女性は悪に加担しているから本来ならそんなことは絶対したくないし、嫌がることもしたくないけれど、そこは心を鬼にしてやる。でも本当に『挿入』はしないこと)


・でも女性が嫌がらずにすんなら『本番』をさせてくれたらそこは『感謝』と『幸運』の気持ちで『挿入』すべし!やや内角をねらい、えぐりこむようにして『挿入』すべし!それ、『挿入』すべし!『挿入』すべし!『挿入』すべし!『挿入』すべし!『挿入』すべし!『挿入』すべし!(ここは田所のあんさんがこう書いた方がいいと言ったから)


・それでも問題にならないようなら『盗撮行為』がわざとバレるようにする(スマホ独特の動画ボタンの『音』が聞こえるようにするとか、なんなら途中からスマホで撮影するのもありで)


・とにかく女性がお店に電話をして悪徳デリヘルの店員をホテルにおびき出すこと


・ホテルに来た悪徳デリヘルの店員をやっつける


・うたわせる


・事務所へ乗り込む


・やっつける


・それらを上手く撮影する



「これでいいんじゃないでしょうか!」


 深夜まで打ち合わせをし、内容を簡潔にまとめ企画書としておこす飯塚。それを見て感心する田所。


「へえー。これが『企画書』ってやつっすか」


「ええ、まあ自己流ですけど。とにかく本意ではありませんがやっぱり『女性』が嫌がることをしてお店からスタッフを来させることが目的です」


「まあ、普通にプレイしてその女性を尾行して事務所を見つけるのが手っ取り早いでしょうけど」


「田所のあんさん。それじゃあ『撮れ高』がですね」


「え?カードを交換するんすか?」


 え?と思う飯塚。『撮れ高』、『とれだか』…、『トレダカ』…?『カードトレーダー』?と理解する飯塚。と同時に神内さんの教えは本当に幅広いなあ…と思う飯塚。


「いえ、あのお…。ユーチューバーとか動画とかテレビを作る人の言葉でして。『撮れ高(とれだか)』とはそうですね…、人気が出そうな、クオリティーの高い動画を意味する言葉のことでして」


「へえー。さすがですね。あ、コーヒーが空ですね。何か飲まれますか?」


「いや、悪いですよ。自分でやりますよ」


「いえいえ。これは自分の役どころです。コーヒーの飲み過ぎはよくないですからお茶にしときますか?」


「本当にすいません。じゃあ、『お茶』でお願いします」


「あったかいやつでいいですか?」


「はい」


 そして空になった飯塚のコップと自分のコップを持ち、鼻歌を歌いながらキッチンへ向かう田所。


「おっよしになあて♪お茶ぁティー♪」


 え?と思う飯塚。いったん冷静に落ち着こうと思う飯塚。じゃすらっくに怒られるかもとも思う飯塚。『ティーチャー』…、『てぃーちゃー』…、『おちゃてぃー』…、ですよね?と思う飯塚。田所のあんさんはつい先日まではあの昔気質で屈強な組員たちで構成される『肉球会』でかなり若手の中では偉い立場だったんだぞ!と思う飯塚。素晴らしいじゃないか!そんな人がこうやってギャグで場を和ませようとしてくれてるんだ!笑うとこ!笑うとこ!と思う飯塚。


 そんなこんなで『悪徳デリヘルを退治してみた!』の企画会議が終わった。

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