第53話後輩をかばいすべての責任を取る京山
木刀は強力な武器であり、その破壊力は使うものによって硬い鈍器より鋭利な刃物よりも殺傷能力が増す。京山が地検に拘留された事件。『三百人対七人』の抗争事件。三百人の連合が『藻府藻府』を襲おうと向かってきていてもうすぐこの場に来る。その知らせを聞いた『藻府藻府』のメンバーはその場にあるもので使えそうな道具をそれぞれが手に取った。京山は木刀を選んだ。ちなみに長い木刀と短い木刀があった。
「どちらを使いますか?」
京山は迷わず『長い』木刀を選んだ。そして聞こえてくるコール音と怒声。三百人といっても横並びで三百人では走れない。せいぜい五台。二人乗りで走ってくる。四輪は見えない。『藻府藻府』のメンバーで『脚立』を選んだ人間がそれを両手で持ち、思い切りフルスイングする。単車を運転手ごとぶっ飛ばす。そこで京山の『木刀』である。
ベキッ!
初撃を倒れ込んだ相手の頭へと振り下ろす。相手にものすごいダメージを与えると同時に木刀は一振りで折れる。そして『折れた木刀』が『鋭利なヤリ』になる。頭から流血して叫んでいる相手に次の攻撃。『折れた木刀』を左手で掴み、右手のひらで押し込む形をとり、相手の体に加減などせず思い切りぶっ刺す。
「ぎゃああああああああああああ!!!」
それを見た相手チームの人間はそれだけで戦意喪失した。そして構わずどんどん「次!」と攻撃を繰り返す『藻府藻府』。散り散りに逃げる相手チーム。三百人を超えるであろう相手をたった『七人』で京山率いる九代目『藻府藻府』は勝った。ただとんでもない負傷者が出たことで事件となり、『藻府藻府』の七人は捕まってしまう。それでも京山は言った。
「俺がやらせました」
「脚立で相手を攻撃したのは」
「俺がやらせました」
「折れた木刀で刺したのは」
「俺がやりました」
後輩をかばいすべての責任を取る京山。地検で二十日拘留されている間も中で京山は有名であった。
「おい!お前は何やってここに来てんだ」
新入りに向かって飛ばされる質問。
「あ、〇〇(三百人を相手に七人で勝った)の事件だ。なんか文句でもあんのか」
「え?あなたがあの…」
中では本職も混ざっている。そんな中、支給されるパンと牛乳は部屋で強いものに対して皆が献上する。黙っていても京山のもとにたくさんのパンと牛乳が献上された。
「そんなことがあったんですね…」
タバコを飯塚の部屋を汚さないよう気を遣いながら吸っている田所が懐かしそうに語る。
「え?その件も飯塚ちゃんには一切言ってないんですか。あいつは。まああいつらしいちゃああいつらしいですが」
「それでその後に『肉球会』にお世話になることになったんでしょうか?」
「あー、自分の記憶だとそれで合ってると思うんすが…。あれ?確か部屋住みで学と健司が同じ時期だったんで。それで合ってると思うんすよね」
自分の知らなかった京山の恐ろしい過去を聞かされ改めてツレのすごさを知ることとなる飯塚であった。
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