第2話
世間はハロウィンが近づいていて、駅前に集う若者も傷メイクをして歩いたり、ちょっとした仮想をして歩く人も多い。てかまだ2日前なのにこんなに人いてえぐくないっすか。
まあ当日は土曜日だし、制服ハロウィンするにも学校ないのにわざわざ制服着るの面倒だって、そんなことクラスの人が言ってた気がする。
寒くなってきたこの時期、今日は雨が降っていたのでバス通学。白浜高校へのバスは、駅前で乗り継ぎが必要になる。だから行きたくなくても行くんだよ駅前は。
部活終わり、そんな風に思いながらもバスに乗り、帰宅する。すると、バスの中で会った人がいる。絢音ちゃんだった。
友達とはその場で別れていたそうでバスでは1人だったようなので、俺はすかさず隣に行った。
「今日部活休みだったの?」
と俺は聞く。
「そう。今日午前授業で、放課後学校で先生の研修?的な何かあるらしくて、部活も全部禁止だもん今日。だから友達と遊んでた」
「へー。だから駅前パッと見したら西星生多かったのかな」
「それこそソフテニもいっぱいいたよ」
「まじ?誰にも会わなくて良かったー。」
とはいえ遠目から知り合い何人か見ましたけどね。真宙が彼女と歩いてるとこ見逃してなかったからな。遠目からだけど。
「どうですか、恋愛面は」
「何も。そう簡単に上手くいかないよね。」
「話してはいるの?堀部先輩と」
「やり取りはしてる。でも今は恋愛は考えられないって言われてしまった。」
「そっか。」
堀部先輩の気持ち、絢音ちゃんも知ってたんだ。
この、追って、追って、の繰り返し。辛いよなぁ
「気持ち分かるな。相手に振り向いてもらえないって」
「分かる?そういえば斗亜も恋してるんだっけ?」
「するつもりなかったけど、恋しちゃった。」
って、目の前の人なんとすけどね。
そしてバスを降りて、それぞれの分岐点に着いた時。
「じゃあね、斗亜も頑張ってよ。」
と絢音ちゃんが言ってその場を離れようとした時、俺は絢音ちゃんの手を引いて、そのまま抱きしめた。
「え、え?なに、どういうこと?」
「俺が恋してるのって、絢音ちゃんのことなんだけど。」
何年も言えなかったこと、やっと言えた。
「まって。いつから?」
「この前話した時。でも、中学の時もずっと好きだったんだよ。初めて話しかけてくれた時からずっと気になってて。でも、堀部先輩が好きって言ってたから、応援してた。」
というか、絢音ちゃんが堀部先輩に告白して付き合う時も、俺が相談乗っていたのは覚えてる。まあ俺だけじゃないけどさ。正直その時から好きだったから、辛かったよ。中1の冬くらいの話だな。
「…でも、ごめん。他の人に気持ちがあるし、だから斗亜にも申し訳ないから、これ以上は私は何もできない。」
「優しいね。でも俺はそれでもいいよ?」
そんなの分かりきってることだから、何年も前から。でも相手だって叶うか分からない恋をしている。お互い様じゃん。だから、いっそのこと。
「いいの?斗亜のこと傷つけてしまうよ」
「いいから、それでもいいよって言ってんの。別に、俺の事ただのストレス発散に使うだけでも良いし。相談聞くとか」
「じゃあ…抱いてくれる?」
…そう来るか。想定外だった。
「変わったね、絢音ちゃん。自分から抱いて欲しいなんて。」
「じゃないと、モチベーション保てない。あんまり周りには言ってないけど私、定期的に」
「へえー。じゃあ今もそういう相手はいるんだ?」
「蓮太だけどね。部内だし、バレたらまずいから、言えてないけど。」
それも、山下蓮太くんか。同中の1つ上なんだけど、あの人も恋愛面あまり良い噂聞かないんだよなぁ。俺の同学年の女子と付き合ってた時も、裏が酷いって俺らの学年でも話題になってた。絢音ちゃんと同じ吹奏楽部の人で、すごいリーダーシップのある人なんだけどな。俺も、幼い頃から仲良くさせてもらっている。
「じゃあ、その相手が俺になったら」
「今よりは、気楽になるよね。私にとってはもう、1番の、ストレス発散方法だから。」
「…良いよ?ただ、条件としては、付き合ってくれるなら。」
ちょっとずるいやり方だけど、仕方ない。こうすれば、手に入ると思ったから。
「なら、これから暇?」
「うん。」
正直、ずっと好きだった人をこんな形で抱くことになるのは想定外だった。っても、今まで平然としてきたことだけど、この人相手にも同じことをするとは思わなかった。
そんな行為も終えたあと。
「絢音ちゃんさえ良ければなんだけど」
と俺は話を切り出した。
「これからも一緒にいさせてほしい。例え、絢音ちゃんが俺の事使うたけでもいいから」
正直俺は、今しかないと思った。彼女に近づくことかできるのは。
「それじゃあ、斗亜のこと傷つける自信しかないけど」
「俺はいいの。わかってるから。何なら嫌だったら切り捨ててもいいし」
俺は、好きな人とこうなってしまった以上は、こうすることしか出来ない。元々、順序の良い恋愛なんてしてこなかった人間だから、尚更よ。
「実際セフレ、とかでも全然構わないよ俺は。そりゃあ勿論ちゃんと付き合ってくれるんだったら良いけど、今の絢音ちゃんじゃあ無理でしょ」
「あからさまに言われると腹立つんですけど」
「ごめん。」
正直どうでもいい。どんな関係かは。
「じゃあ、付き合う?」
「私がこんなんでもいいなら、いいけど。」
そして俺が彼女に対する恋愛感情は、少し歪んでいるのかもしれない。
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