彼女と別れた瞬間、大量の美少女ヒロイン達が現れた!~ヒロイン達は彼女になりたそうな目でこちらを見ている~

ごま塩アザラシ

第1話 あんたには飽きた

「もうあんたには飽きたの。私たちの関係はおしまいにしよ」

「は?いきなりなんだよ!?」

「だからあんたより雄介くんとか信吾くんの方がお金持ちで色々貢いでくれるし、もうあんたと付き合うのが面倒なの!ダルいからこれ以上言わせないでよね」


放課後の教室で唐突にそう告げてきたこの女は窪田莉子。明るい茶色の外ハネの髪が特徴の快活な美少女であり、2年前に俺が告白されて付き合い始めた彼女である。

いや、彼女であったが正しいな。たった今俺は別れを告げられたのだから。


告白されたのは当時俺たちが高校1年生で同じクラスだった時だった。照れながらおずおずと俺に好意を伝えてくれた彼女に、単純にもその場で一目惚れしてしまった俺はその場で告白を受け入れ、そして付き合い始めた。

当時は優しく、気遣いも出来る優しい子だったのだが、2年のクラス替えでクラスが別れてから彼女は変わり始めた。

連絡しても返事はだんだんと遅くなり、デートする時も携帯ばかり見るようになった。それだけではなく、服や化粧品、ファッション誌など様々な物をねだり始めた。

別に俺は金持ちでは無かったのでバイトを始めたのだがそれでも限界はある。

少しずつ変わっていく彼女だったが、俺は昔の優しさを忘れられずにズルズルと今の今まで関係を続けてきたのだ。


しかし今全て吹っ切れた。

もう今目の前にいる女は昔の優しい彼女なんかとは違う。

俺が惚れた彼女なんかではない。

だから、


「あぁ、分かった。一応今までありがとな」


俺はそれだけ言って夕日の射し込む教室を後にした。



翌日、学校に着いて自分の席に座ったときだった。

今までは元カノである莉子と教室の前まで一緒にいたことを思い出して懐かしさが蘇る。

別に後悔なんかはない。

そう考えていると机を3人の他のクラスの女子達に囲まれた。


「基山くん!窪田さんと別れたって本当なの!?」


紹介が遅れたが、俺は基山仰きやまあおぐと言う。

普段は『基山』『基山くん』、仲がいい奴からは『仰』などとも呼ばれる。

詳しい自己紹介は後々していくとして、とりあえず今目の前の状況に俺は戦慄する。

別れて1日たっただけ、誰にも言っていないのに既に昨日のことは知れ渡っているらしい。

まぁ嘘をつく必要もないので正直に答える。


「あぁ、ちょうど昨日別れたんだ」

「ほんとだったんだ!ありがとう!じゃあまた今度ね!」


3人の女子達は何が嬉しいのかキャイキャイと騒々しく話しながら教室から出ていった。

俺は呆気にとられてしまう。

そういえば俺が返事をしたとき、教室にいた女子達が皆ガッツポーズをしていたのだがあれは一体何だったのだろうか?

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