第27話 お医者さん

おいら  ・・・あたい、なんなんだ?

  なんか病気なのか?


あたい 最初は左目が痛くなって来て。


おいら 左目痛いの、嘘っこじゃなかったのか。


あたい ホントに痛かったの。

  お医者さんからは、体のどこかが痛くなってくるとは前から聞いてて。

  最初に左目が痛くなって。

  その痛みが最初はそれほどの痛みでもなかったの。

    目にゴミ入って違和感がある感じ。

    それが、痛みに変わって段々痛みが激しくなって。

  針が突き刺さるような。

    左目を中心に段々痛みが周りに広がっていくの。

  もうこんな痛いんだったらこんな目いらないって位の痛みが、

    ずっと続くの。

  たっくさんお薬飲んで痛みを抑えるんだけど、それでも痛くて痛くて。

   もう、もう、もう、我慢が、我慢が出来ない! ってなった時に、

  左目の痛みがふっと軽くなっていくの。

    それがね、全然痛くないの。

   でも、代わりに左目が見えなくなっちゃった。

    感覚も全然ないの。

   ずっと言えなかったんだ。

  それから、左腕。

    左腕もすっごく痛くなって、痛くなって、痛みが消えたと

  思ったら、動かなくなっちゃった。


おいら なんだよ。おいら悪いことしちゃった。

  おいら、キツく縛らなければこんなことにならなかった。

  おいら、どうしよう・・・。

    おいら、悪いことしっちゃった・・。

   取り返しの出来ないことをしちゃった。

  おいら、どうしたらいいのか。

   おいら、おいらの左腕だったらあたいにあげる。

    サッカーするのに腕いらないから。

    おいらの左目もあたいにあげる。

    おいら、目だけはいいんだぜ、両目で2.0。

    一個になっても半分だから、2割る2で、1.0あるんだぜ。全然大丈夫。

    

あたい そんなのダメよ。おいらの体だから、大切にしなきゃ。

  その体全部揃って、おいらなんだから。

  そんで、あたいの体とまっすぐに向き合ってるのが、あたいなの。

    それから、おいらのせいじゃ全然ないんだよ。

    痛みが来る順番は、あたいにも、お医者さんにも、お母さんにも、それこそ

    天の神様だって分からないって、お医者さんが言ってた。


おいら その医者信用なるもんか。

    そんな医者信用してたら、あたいの体、無茶苦茶になっちまうぜ。

    おいら日本中、探してあたいの体を治せるお医者さんを探してくる。

    日本にいなかったら、アメリカに行って探してくる、アメリカにいなかった

    ら、イギリスでも、フランスでも、中国でも、韓国でも、インドでも、

    ブラジルでも、チリでも、何処だって探してくる。

    でも、どこにもあたいを治せるお医者さんがいなかったらどうしよう。

    ・・・どうしよう、どうしよう。どうしよう。

    そのときは、神様、神様、なんとかなんとか、あたいを治してあげてくださ

    い。

    どうか、どうか・・・・。


あたい いま、とってもいいお医者さんに診てもらってるのよ。

    すっごく偉い先生みたいで

   毎日、手術がいっぱい入ってて、予約が2年先まで取れないの。

  あたい、怖い先生かと思ってたら、それが全然優しいの。

    あたいの病気のこととっても、分かり易く説明してくれて、すっごく安心し

    た。

   病気のこと怖くてすっごく不安だったんだけど、

    その先生のお話を聞いてたら安心した。

    その先生の目がとっても好きなの。

    でも、もちろん、おいらの方がずっとずっと大好きよ。

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