第18話 窓の外の校庭

【回想モード(日記モードと同じ)2人】


  あたいにもスポットがあたりふたりでの会話。


おいら ひとつ聞きたいことがあるんだけど、どうしておいらと交換日記を

    しようって思ったんだ?


あたい はじめて話しかけられた時、すごく嬉しかったの。

   その時のこと覚えてる?


おいら いつだっけ?


あたい 夏休みが終わって、最初の席替えの後。今の席に変わってからすぐ。


おいら ・・・その時のことはよく覚えてる。


あたい 一学期に仲良くなった友達はみんな廊下側の席で、

    あたいは窓側の一番後ろ。

  あの席替えは、正直ガッカリだった。


おいら おいらがその隣。


あたい 隣の席の誰かはいっつもいないし。


おいら 遅刻か、寝てるか、学校サボってるし。


あたい でもその日は、たまたまおいらは、授業に出ていたの。

   今でも忘れない、木曜日の5時間目、算数の時間。

   問題練習の時間で、あたい、早く問題解き終わって時間が

    あまっちゃって、

    その時ずっと窓の外を見ていたの。

   小学1年の体育の授業やってて。みんなで水色の大きな風船をついて、

   ポンポンして楽しそうだった。それがね、とっても大きい風船なの。

  あの子らから見ると、空が全部風船に隠れてしまってるのかな、

    と思って見てた。水色の大きな風船。

  とても楽しそうだった。


おいら  その日はどんな天気だった?


あたい 天気? 天気なんてどうして知りたいの?


おいら  もっとその時の状況を詳しく知りたいんだ。


あたい 天気ねえ、・・・ごめん、思い出せない。


おいら 雲は出ていた? ひつじ雲とか、うろこ雲とか?


あたい ・・・ううん、よく覚えていない。


おいら 風は吹いてた?


あたい 風?  吹いていたような、・・・・吹いていないような。

   何だか取り調べみたい。


おいら 取り調べ?


あたい  そう取り調べ。


おいら あたいが、何を見ていたのかよく知りたい。


あたい ただ、校庭をぼうっと見ていただけなのに。


おいら ただ知りたいだけ。


あたい ・・・でも、何も思い出せない。そんなことどうでもいいじゃん!


おいら そんなのどうでもいいか!


あたい そうよ。そんなことどうでもいい。


おいら どうでもいいか。

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