第5話  忙しい忙しい


女の子 じゃあ、交換日記をするってことで。


おいら でも交換日記は出来ないよ。


女の子 分かった降参だって、今言ったでしょ!


おいら 違うんだよ。


女の子 何が違うの!


おいら あれ、おいらじゃないの、実は。


女の子 何が?


おいら 読書感想文。


女の子 おいらが書いてないの!?


おいら そう。オカンが全部、書いたの。本もおいら読んでないし、

    一文も書いてないの。

  自分の名前だって書いてないし。


女の子 そんなのダメじゃない!


おいら まさか、なんとか大臣賞なんて当たると思ってないから・・・。


女の子 (急に泣き出す)わー!!! わーーーー! わーーーー!


おいら ごめん、ごめんよ。

  でも、だから日記なんて出来ないんだ。


女の子  (急にもとに戻って、あっさりと)でもいいの。おかしいと思ってたし。


おいら だからダメだって。


女の子 そんなことどうでもいいいから私はおいらと文通をしたいの!


おいら  絶対にやだ!!


女の子 だから交換日記してって!


おいら おいらは絶対にやだ!

    そもそも国語出来ないし、文章なんて書けない!


女の子 いま喋っているようなことをそのまま書けばいいんの。


おいら 漢字も分からない。


女の子 ひらがなで書けばいいじゃない。


おいら ひらがなで書くなんてやだ! 子供っぽい。


女の子 十分子供だし。


おいら おいら、アレルギーなんだよ。


女の子 何の?


おいら 鉛筆アレルギー。


女の子 そんなのある訳ないじゃない!


おいら  誰にも言ってなかったけど、診断書もあるんだ。

   (ポケットから何か紙を取り出してあたいに渡す)


おいら ほら。


女の子  ・・・お菓子ののレシートじゃない!


おいら おいらそれどころじゃないんだよ。毎日忙しいの!


女の子 何が忙しいの?


おいら テレビ見たり、ゲームに忙しいの!


女の子 少しの時間でいいの。


おいら ・・・忙しいんだよ、生きるのに。


女の子 そんなの私だってそうだよ。


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