雨粒と恐竜、或いは平家

雨の日は、ビニル傘や窓についた雨粒を眺める。

何も意識しなければ、小さい粒々が沢山くっついているだけに見える。


だが、じっくり眺めてみると、小さい粒が周りの粒々を吸収して、

大きな粒になっていくのを見つける。


少し大きくなった粒は、凄いだろうと言わんばかりに動きまわり、

そこらじゅうの小さい粒々をどんどん糧にしていく。

周りの小さい粒々は、じっと動かずそれを見つめている。

大きな粒は、『こんなにも立派になったぞ!』とえばって更に動き回る。

大きな粒の楽しそうなことと言ったら!

しかし、それもほんのつかの間……。

大きな粒はやがて、自らの重みに耐えきれず、滑り落ちて無くなってしまった。


恐竜が絶滅してしまったのは、こういうことなのかな。

それが故に、平家は滅亡してしまったのだろうか。


おごれる人も久しからず、 唯春の夜の夢のごとし。

たけき者も遂にはほろびぬ、偏に風の前の塵に同じ。


重力の前の雨粒に同じ、かな。


そんなことを考える、台風前夜。

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