第39話どくしょだよ!いくらちゃん

「あれ?なに読んでるの?いくらちゃん」


「あ、うきえさん。ご無沙汰しております。これはお恥ずかしいところを見られましたね。ばーぶー」


「何言ってんのよ。本を読むって素敵なことよ。あれ?」


「はーい。いささか先生の作品を読ませていただいております。ばーぶー」


「あら嬉しい。お父さんの本じゃない」


「はーい。何度も直木賞の候補になってましたが残念です。自分はこの独特の世界観が好きですね。ばーぶー」


「ありがとう。いくらちゃん」


「それで、あのお、かつおさんとは仲良くされてますでしょうか。ばーぶー」


「さあ、どうかしら。いくらちゃん。今晩飲みにいく?」


「いけませんよ。ばーぶー」


「あーあ。私、相手を間違えちゃったかなあー」


「何言ってるんですか。自分も散々そういうのを見てきましたので。おかるさんもうちの馬鹿が、何と言いますか。ばーぶー」


「こら、だめよ。おとうさんのことを馬鹿なんていっちゃあ」


「そうですね。ばーぶー」


「今度お父さんの新作を発売前に持ってきてあげるね」


「あ、いいんですか。光栄ですね。ばーぶー」


「じゃあねー。今度その本の感想聞かせてねー」


実はサインも入れて欲しいぐらいいささか先生の大ファンのいくらちゃんであった。

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