第18話けいたいしょっぷだよ!いくらちゃん

「何年振りになるかしら。あんたが実家に顔を出すなんて」


「はーい。そうですね、5年ぶりですかね。ばーぶー」


「向こうではちゃんとやってんの?仕事は何してんの?」


「はーい。まあ、いろいろです。おやじは元気にやってますか?ばーぶー」


「そんなこと、自分で聞けばいいでしょ。直接顔を合わせて」


「はーい。自分は家を飛び出した身ですから。たいこさんには感謝してますが、おやじには合わせる顔がありません。ばーぶー」


「ほんまにお互い頑固なんだから。あら、携帯がなってる。ちょっと運転中だから代わりに出てくれる?」


「はーい。あ、おやじからなんで。ちょっと勘弁してもらっていいですか?それにしてもたいこさんもとうとうスマホに変えたんですね。ばーぶー」


「もー、頑固ねえ。そう、スマホでびゅーしたの。すごく便利ねー。スマホって」


「はーい。ちょっと聞きますが月々の請求は増えましたか?ばーぶー」


「えーと、よく分かんない。自動引き落としだから。でも二万ぐらいじゃないの?」


「ちょっとスマホ見ていいですか?ばーぶー」


「ええけど個人情報やでえ。何を見るん」


「いえ。ちょっと。ばーぶー」


(マイページ的なものを確認)


「あのお、たいこさんは『アニメ』とかスマホで見るんですか?ばーぶー」


「見いへんで。なんで」


「いえ、たいこさんは『まんが』とかスマホで見るんですか?ばーぶー」


「見いへんで。なんで?」


「い、いえ。たいこさんは外でネットをかなり利用したりするんですか?ばーぶー」


「んー。あんまり使ってないかなあ。なんで」


「いえ、50ギガも使うのかと。ばーぶー」


「『ギガ』ってなんな?」


「い、いえ。ばーぶー」


「あ!でもあれやで。なんか『ぽけっとなんちゃら』ってのがお得なんやろ?それをつけたらいろいろ割引とかお得って親切な店員さんが親身になってくれたから」


「すいません。たいこさん。その携帯ショップにこれから一緒に行ってもらえませんか。ばーぶー」


なんとか穏便にすませたいいくらちゃんであった。

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