芝生(イネ)の花言葉は「神聖」1
「やっぱり隣の芝生は青く見えますね」
春菊さんは静かにそういった。
「(´∀`*)ウフフ、確かにそうですね。春菊さんは夫に熱烈な愛情を注がれて結ばれて、私は逆に夫に愛を注いで結ばれた」
どうやら葵さんは旦那さんに告白して今の人生を勝ち取ったようだ。
しかし山羽という名字は変わっていないことから旦那さんは婿養子もしくは離婚をしているのかもしれない
「あ、蒼汰君今私が離婚しているとか思ったでしょう。あなた何か人に言いにくいことを考えているときは手のホクロを触る癖があるの知ってた?」
「あ、そういえば…」
母親にも言われたことがある。
テストで悪い点数を取ったり学校で何かやらかした日には必ず母親にバレていたためなぜそんなにわかるのかと質問したことがある。
そのような質問に対して母は
「蒼汰はね赤ん坊の時からホクロができるところを何故かいじる癖があったのよ。アンタがいじってばっかりのところは必ずホクロがいつのまにかできてできるたびに必死に隠そうとしてたからね。小さい頃からホクロが多かったからって理由でいじめられて泣いてきた時も同じようにしていたからね。まあ、あとは親の勘ってやつね」
母はおしゃべりでもあったためおねしょなんてものをした日には町内会中に広まっていた。
葵さんも町内会に所属していたそうだし知っていても何ら不思議ではなかった。
「そうそう、来夢も同じように言いたくないことを考えている時にする癖があるんですよ」
「ちょっ!?ママ!!」
葵さんは来夢さんの反応に笑いながらもウインクをして
「蒼汰君のことを考えてる時はいつも人形を見つめてるのよね」
(〃ω〃)カーッと熱くなって火照った顔は実に可愛らしい。
蒼汰は生粋のオタクと呼べるほどの実力はない。
しかし最近の若者ように結婚を考えないタイプの人間ではあった。
中途半端なオタクというのは難儀なもので仲間が欲しいのに世間体を気にしながらも自分の道からは逸れたくない。
どっちつかずで我儘、故に孤立する。
蒼汰は子どもの時からいじめられていたこともありその同情という意味でも仲間を作りたかったという意味でも来夢さんは当時の蒼汰にとって心の支えになる人物だった。
お姉さんに見えた少女は実は年下で本来助けを請うべき存在ではないのに助けを求めた。
正確には助けを求めようとして結果助けてしまった。
この偶然が蒼汰と来夢にパーソナルスペースを縮める要因となり、玲菜のようにズカズカと行く必要もなければ自然と互いの距離を保ち続けられる恋愛とは違う絆のようなものが生まれていた。
「お、お母さん!私にはそんな癖はない!!」
甘夏さんは今のこの空気が自分にとって不利、このままゴールインされかねないと判断し、水を差すような形で春菊さんに助力を求めた。
「そうね、玲菜が人に言えないような隠し事をするときは必ずあなたのグループから変な支出が出ることかしら?」
もはや癖と呼べるのだろうか
甘夏さんは昔からエリクソンさんの娘だということだろうか
強引かつ繊細に行動する甘夏さんは何となく競馬場に居そうなギャンブラーに似ている気もする。
「お、お母さん!」
裏切ったなとでも言うような甘夏さんだがそもそも春菊さんは甘夏さんの相手を鑑みない恋に対して否定的だ。
その方法で自分が結ばれたとはいえその行動自体は迷惑極まりないものだ。
女の嫉妬は醜いというが甘夏さんは嫉妬というよりかは癇癪と言った表現が正しいのだろうか?
「くっ!蒼汰さんはどっちがいいんですか!」
「蒼汰君、選ばなくてもいいよ。私は蒼汰君と友達で居れればそれでいいから」
こうしてみると聞き分けの良いお姉さんが来夢さんで癇癪を起しやすい次女が来夢さんに見えた。
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今日の更新はここまでとさせていただきます。
本日地震が起きましたために部屋の掃除あとかたずけに追われております。
誠に申し訳ございません
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