ライム(みかん)の花言葉は「結婚式の祝宴」
「ここが私の家」
「ここって……」
「ええそうですね」
甘夏さんの家、もといマンションだった。
「ということはハイエナは私の管理下にあるも同然、逢引きなんてさせませんよ」
「ここのマンション所有者はバルタザール・エリクソンになってるよ?」
「それ甘夏さんのお父さんなんだよ」
「そっか」
来夢さんは気にした様子もなく淡々とマンションの中に入っていく。
甘夏さんは悪の皇帝のような表情をしながら闊歩しついていく。
子どもが指さしながらこちらを見て「あのお姉ちゃん四皇みたい」という程だ。
ここで春菊さんが居たら確実に「淑女たるもの……」と言って叱っていただろう。
というか今までの言動や行動をボイスレコーダーやカメラに収めれば即座に春菊さんが飛んできそうな気もする。
マンションの一軒はエリクソンさんも関わっているだろうしそのことを考えると春菊さんが怒り過ぎて脳卒中とかで倒れないといいけどとは思う。
「ここが私の実家」
「ふ、勝った」
「所有者に敵わないのは当然でしょ」
「それでもここは高かった。買うのに蒼汰の住んでいる付近なら土地代含めて一軒家が3件は経つお値段」
来夢さんの実家が購入している部屋についたのだが、ここでも露骨なアピールによる合戦が始まろうとしていた。
「あら玲菜に蒼汰君?」
「来夢、もう帰ってきたの?」
「玲菜ちゃんこんにちは」
「え?お母さん何故ここに、それに夏目さんも」
「お母さんただいま。春菊さん、夏目さんこんにちは。今日は恋のバトルのために家に案内してた。今日は女子会?」
どうやら来夢さんの言動を鑑みるにマダムズ3人が女子会をしようとしていたらしい。
春菊さんに面識もあるところもみると会ったことはあるらしい。
そしてもう一人の夏目さんと呼ばれた女性だが春菊さんと来夢さんのお母さんと仲がいいことぐらいしかわからないがこちらも二人と面識があるらしい。
「え?もしかして春菊さんの娘さん?」
「ええそうなんです。この子は私に似ないばかりか私の夫の悪いところばかり真似て迷惑ばかりかけてるんですよ」
「あーバルタザールさんは以前女子会にも参加しようとしてたくらいだしね。束縛感が強そうね」
なんというか流石甘夏さんの父親というべきか好きな人の全てを把握したいというヤンデレの精神はここから受け継がれてきたとでも言うかのような言い草に蒼汰はゲンナリしていた。
それをフォローするように来夢がヾ(・ω・*)なでなでと蒼汰の頭を撫でていた。
もちろんそれを
「あ、ハイエナ!私の蒼汰さんに手を出さないでください!!」
第2次蒼汰争奪大戦が始まるかに思えたが
「コラ、玲菜!人様に迷惑はかけるなと言ったでしょうに」
「あら、青春ね」
「そうね、でもなんで来夢が……蒼汰、ああ!!」
来夢さんのお母さんは蒼汰の顔を見て嬉しそうな顔をした。
「来夢の未来のお婿さんに成るって言ってた男の子!!」
第2次蒼汰争奪大戦は始まるどころか最初から甘夏さんの負けが決定したのだった。
「そ、そんな、嘘ですよね。蒼汰さん」
「うーん?」
「そうですそうです蒼汰さんが
甘夏さんは現実が受け入れられないのか即時撤回を申し立てる。
だがそれに黙っている来夢さんではなかった。
「ん!」
「あ、これは……」
一種の神社のお守りのような袋に入ったモノを蒼汰に差し出された。
蒼汰も見覚えがあったのか納得したように頷いた。
「これは確かにプロポーズをしたね」
「な、な◎△$♪×¥●&%#?!(言葉にならない悲鳴)」
「勝った」
方や釣船屋の息子のように高らかに拳を掲げる姿を見せ
方やチンピラから名声を得たボクシングチャンピオンの最後のように真っ白に燃え尽きた姿をしている人物が居た。
「来夢ちゃんこれは?」
「結婚指輪」
「結婚指輪?子どもの時にもらったの?」
「うん!」
夏目さんに話しかけられて来夢さんは嬉しそうに話す。
そうこの袋の中身は結婚指輪にも捉えられてもしょうがないモノでもあったからだ。
来夢さんは袋の中身を取り出した。
「これ」
「あらまあミカンの皮と若枝で作った指輪ね。とても可愛らしいわ」
「なるほど、確かに華道さんとこの息子さんらしいわ。そういえば華道さんも逆プロポーズするときは花の指輪を渡したって聞いたさかい子どもの時やっとっても不思議やない」
「来夢ったら今でも持ってるんだから本当に彼氏も作らないから心配だったけどお婿さんが居るんじゃ仕方ないわね」
ミカンの皮と若木を編み作ったプレゼント
当時年上だと思っていたお姉さんは後輩に成りまた蒼汰の下に戻ってきた。
「ねえ英語でミカンのことはライムっていうんだって!だから来夢ちゃんにこれ上げる!!ミカンの花言葉は「結婚式の祝福」だから来夢ちゃん僕と結婚して!!!」
少年の何気ない一言は
かつてイギリスでは柑橘類全般のことをライムと呼んでいたそうだ。
少女の名前の花を贈り花言葉も結婚に関することと来た、これ以上に無いプロポーズ、例え100万ドルの夜景の中のプロポーズでさえ霞んでしまいそうなプロポーズにライオンはじっと見てるしかなかった。
ミカンの花言葉は「結婚式の祝福」「愛しらしさ」「純粋」
少年はお姉さんと思っていた少女を純粋に愛おしく結婚したいと思った。
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