エーデルワイスの花言葉は「大切な思い出」1
「幼馴染との再会、しかし幼馴染には彼氏が居たとは、これだけで執筆が出来そうですな」
「いやはやしかしどういう作品にするかは悩みますぞ」
「近頃のラブコメは現実と離れさせる傾向にありますが原点回帰するのも一考」
オタ活勤しむ外野を尻目に肉食生物2名に挟まれた蒼汰はとりあえずこの場をどうトンズラしようか考えていた。
「く、一目に観て思い出されないような幼馴染風情がよく言うじゃありませんか」
「そういうあなたは蒼汰君の優しさに付け込んで迫っていると思う」
「言わせておけば」
幸いこちらの方にどちらも注意を向けていない。
だが周りにいるオタク戦士たちが邪魔だ。
この包囲網を突破しない限り明日はない。
俺はこのヤンデレどもから約束された幸せを得たまま時を止めるよりそれより俺は未来ある明日が欲しい!
んなことを思ってるとオタク戦士たちは道を開け始めた。
「「「Yes, Your Highness」」」
いやいつ契約かかったんだよ。
しかし隙は生まれたすぐさまその場を後にする。
「「それで蒼汰さん(君)はどっちを選ぶの!!」」
振り向いた先には優秀な成績を残し王家に忠誠を誓った兵たちが蒼汰の姿を隠していた。
「な、見失った。ふふふふふふふふふふふふ、私から逃げきれるとでも……」
甘夏さんはスマホを取り出し国際電話にかけ始めた。
「まあ、今回ここで弾いたのは偶々だし、えっと甘夏さんだっけ?軍人に頼るのは日本じゃタブーだからね。ほどほどに……って、聞いてないか」
来夢と呼ばれた路上の演奏者は人ごみに紛れ去っていった。
◇◇◇◇
甘夏さんと久しく会っていなかった幼馴染、来夢とのキャッツファイトとに巻き込まれないように逃走した蒼汰は当初の予定をだいぶ押してしまったと判断して最終処分場をキャンセルして次の予定であるキャラショップ巡りに移行した。
目指すのは主に新品ライトノベル発キャラクターフュギュアを主に入荷している店だ。
「今日は店長居るかな?」
ルンルン気分で店内に行くと
「あ、こっちに来たんだ」
「来夢さん?なんでここに?」
「私もここの店長と懇意にしてるんだ」
「へえ、さっきはごめんね。あと店長は居る?」
「うん居るよ。今私の予約したフュギュアを持ってきてもらっている」
来夢さんは普段からヘッドフォンをしているのか首に掛けていた。
「私、ストレスで中途半端に脱色しちゃった。でも白髪に成らなかったのは蒼汰君のおかげ」
ストレスにおける髪の脱色は未だに解明されていない。
手塚治〇著の闇医者漫画の主人公のように一部分だけ白くなることもあれば島袋〇年著のグルメ冒険漫画に出てくるモブみたいだけど重要なキャラのように全ての髪が一気に白くなることもある。
だが中途半端に脱色し増してや翠色になるというのは日本人の髪では珍しいことだった。
「確か前は茶髪だったよね」
「うん、覚えててくれたんだ」
「もちろん、あの時はずっと上のお姉さんだと思ってたしね」
「あ、言うの忘れてたけど私蒼汰君よりも年下だから」
「え?」
今でこそ身長は蒼汰の方が上だが幼き日の記憶中では彼女の方が遥かに大きい体躯をしていた。
「あのとき蒼汰君に助けられてめそめそ泣いていたお姉さんは実は蒼汰君の1個下だった。今でも覚えてるよ私が近所の高学年の小学生たちに難癖付けられたのを助けてくれたのは今でも昨日のことのように覚えている」
甘夏さんの居る前では見え張っていたかのような言葉数が足りない口調で話す。
そういえば来夢さんは泣いているとき以外はめんどくさがりのイメージが強かったなと思っていると
「そういえば、名字とか今まで言ってなかった。改めて自己紹介、
「山羽?」
「うん楽器の山羽」
「そうなんだ。来夢さんも社長令嬢なんだね」
「も?」
「さっき言い合ってた人も社長令嬢なんだ」
「そう、あの人獲物しか見えてない。気を付けた方がいい」
心底蒼汰を心配するような視線を向けていた。
なんというか子どものような純粋な心配をしてくれる来夢に感動していた。
「大丈夫?」
「大丈夫、でも店長遅くない?」
「多分ドアでスタンバってる。SNS交換しよう」
「連絡先はいいけど……スタンバってる?」
来夢さんは指を指し方向を示すと白い物体が見えた。
【長年の思い人的幼馴染カップルができるのスタンバってました】
と書いてあるプラカードを持った、集英社で1,2を争う最強のネタ系バトル侍漫画のマスコット枠のコスプレをしている店長が居た。
「おーい店長何やってるんですか」
「いや、これ絶対カップルできる流れでしょうが!そして私は店長ではない恋の天使長だ!」
高い女性の声が店内に響き渡る。
「んな馬鹿な」
「恋の天使長、私の予約してたフュギュアは?」
「あ、こちらに成ります」
店長は布の中からするするとフュギュアを取り出す。
本人ならこれを女性に渡すのはNG行為だが店長は女であるためギリギリOKと言えるのだろうか……
もちろん裾を上げるときに見える足は毛一つないツルツルの生足である。
「これは確かバトルラノベに出てくるエーデルワイス」
「うん、魔術を使うシーンが好き」
いつの間にか店の空気は恋路からオタク道へとそれて行った。
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