オタク草食系男子は超肉食ヤンデレ宝石令嬢に美味しくいただかれます～純愛から狂愛へダイヤモンドの瞳は狙った獲物を逃さない～

向日葵の花言葉は「あなただけ見つめてる」２

「蒼汰さんって普段休日の朝ごはんは抜いてるんですか？」

朝から重めのビックマックを食べていると甘夏さんは突然と一人暮らしをしているときにふらりと現れるオカンのようなことを言ってきた。

「いやいつもは食べてるよ」

「何を食べているんですか？」

「パンだけど……」

「嘘ですね」

甘夏さんは確信した声音と眼差しで否定した。

嘘は許しませんよとでも言うような目つきで睨みつける。

美人はどんな顔も花になるというが流石に起こった顔は山姥（やまんば）のようになるようだ。

「だって蒼汰さんの部屋に行ったときパンの類が一切なかったじゃないですか」

「パンはストックせずにスーパーとかで買ってきてるんだけど」

「本当にそうなんですか？」

「そうだよ」

「嘘ですね」

「いやなんで！？」

甘夏さんはやはり確信して否定を行っている。

なんというか凄い集中してこちらを見られているような気がする。

たじろいでいると甘夏さんは頬を掴んできた。

「な、何かな？」

「蒼汰さん試しに私のことを好きと言ってください」

「え？」

「言ってください！」

突然のことに困惑している蒼汰であったがそれ以上に周りの目が気になった。

「なにあれキスするのかしら？」

「そういえば店員さんたちが燃え尽きたような人たちが多かったけどもしかしてあのカップルにやられたのかもね」

「そうよねアキバでメイド喫茶のバイト前によくここに来るんだけどオタクって感じの人しか働いてないし、結構な頻度で変わるのよね。この店舗」

「やっぱオタク戦士にはアキバに来るカップルは眩しすぎるのね」

幸いそこまで周囲の目は無かったが……メイド喫茶の方が居たとは、せっかく東京に一度で良いから行ってみたいとは思う。

「今、あのメイド喫茶のバイトをしてると言った方を見ましたね」

「み、視てないよ」

「やっぱりそうです。蒼汰さんは嘘をつくときに必ず左の眼だけ瞬きしてます」

「え？」

「やっぱり私のことはまだ好きではないんですね。でもですよ」

チュッ

「家族以外からのファーストキスをいただきましたよ」

甘夏さんとのキスはビックマックとコーラの匂いがした。

先ほど見られていた人たちはキャーといいながら騒ぎ立てていたがこちらは心臓が鳴りっぱなしである。

思春期の男の子のような女子に迫られたドキドキというわけでなく避難訓練のとき流れるようなサイレン音のような緊迫した心臓音だ。

「ん？やけに心臓の音が激しいですね。前に誘惑しようとしたときの方もドキドキしていましたがその時は確か私のことを意識している感じもあったのですが……まさか！」

勘のいいガキは嫌いだよ。

逃げるが勝ちと言いたいとこらだが甘夏さんに頭をがっちり押さえつけられたままである。

逃げるに逃げられない。即ち公開処刑の時間である。

「蒼汰さん質問です。今から答えることに正直に答えてください」

「はい」

「あなたはこれが家族以外でのファーストキスではありませんね」

「はい、甘夏さんが俺のファーストキスではありません」

次の瞬間ヘッドロックが決まった。

急いでタップし始めるがそんなのは意味を成さない。

彼の死に際に放った一言はとある令嬢をダークサイドへ駆り立てた。

俺のファーストキスではありません

令嬢は自分の宝を奪った者を探すために海にでる。

世は大ヤンデレ時代、世のヤンデレに法律は意味を成さない。

んなことを考えたのはさておき、もちろんヘッドロックとは言ってももちろん味方によっては桃源郷（とうげんきょう）のようなヘッドロックである。

甘夏さんは大胸筋はなく柔らかく形も良い推定1500グラムの塊に頭を預けているのだ。極上の無重力クッション、セブンスピローが造る枕に匹敵する寝心地であることは間違いないだろう。

だがいかせん押さえつける力が強すぎる。

「誰ですか！誰が蒼汰さんのFirst kiss（ファーストキス）を奪ったのは！！」

甘夏さんはヘッドロックを仕掛けたまま頭をブンブン振り回す。

そのせいで顔だけでなく頭全体に魅惑のフェロモンと共に柔らかいが鈍器と化した胸に叩かれ溺れさせられていく。

「蒼汰さん聞いてるんですよ！……あ、すみません。どこか横に成れるところで休憩しますか？」

タップをしたのにようやく気が付いてくれたようでなんとか地獄のような桃源郷から帰還することができた。

甘夏さんも悪いと思ってるのかアタフタしている。

「ど、どどどどうしましょう。蒼汰さんがかなりフラフラしています！」

しかし甘夏さんがアタフタするたびに店内の客たちは良からぬ妄想をし始める。

「休憩？」

「きっとホテルよ。今から男の子の方を食べちゃうのよ」

「あの男の子は草食系って感じだし女子の方は肉食系って感じよね。お似合いのカップルに見えるけど容姿は釣り合ってないって言われるかもしれないわね」

「いや女王様とペットってスタイルで案外受け入れられそうよ」

「もしかしたらベットに入ったら彼氏が豹変するとか？」

「おとなしい子ほど夜は野獣に成るって聞くしね」

お姉さま方が良くない噂が流されるからマジで辞めて

そう言いたかったがそれを話せるのは10分ほどたった後だった。