第62話 因縁
こうしてアルフォンスたちは、戦場に到達する。
闇雲に手助けをしても埒が明かないため、短時間で状況を把握しようと戦場を見渡す。
「あれは【ハイオーク】か……」
「僕が参戦したときに、さっさと逃げた一団があったので、多分それかと……」
「はぐれってことか……」
「でも、組織的過ぎる」
「でも、効率的過ぎる」
「キング……はもういないッスから、ロードかジェネラルくらいはいそうッスね」
「ロード……」
アトモスが思案にふけると、魔術師であるイーサンがとある少女たちを見つける。
「あれは隷属の首輪?」
「どうしたイーサン?」
双子の兄がそう尋ねると、イーサンは眉間にシワを寄せて、彼女たちの首元に光る首輪を睨みつける。
「あれは奴隷だ……」
「何?」
「えっ?」
そのありえないひとことに、デュークやアルフォンスが驚く。
「昔、見たことがある。少女たちの首元の魔道具は着けられた者の自由意志を奪う
「何?見たところ、まだ子供だろうが……」
「それじゃあ……違法奴隷ってことですか?」
「ああ、そのとおりだ」
アルフォンスの問いかけにイーサンがうなずく。
するとアルフォンスの目が鋭くなる。
「ならば、そこまで命を張る必要はねえな」
バレットが鼻を鳴らして、身も蓋もないことを言う。
「クリフ」
「ええ、とりあえず奴隷たちを守るッス。クソ違法奴隷商人どもには、自力で集まってもらうッス」
アトモスに名前を呼ばれただけでその意を汲み取るクリフ。
こうして、戦いの方針が決まった。
「じゃ、行きます」
そのとたんアルフォンスが、右手を軽く振ってから奴隷の少女の方に向かって駆け出す。
見れば少女にとどめを刺そうとしていたハイオークの頭部が爆散している。
「…………暗器か。相変わらずすげえな」
バレットがため息をつきながらも、その後を追いかける。
「守りは俺がっ!」
おそらくは、少女の治癒にかかりきりになるだろう、アルフォンスの後背を守るのは自分だと言わんばかりの行動。
するとそれも織り込み済みだとばかりに、クリフが指揮をする。
「じゃあ、壊れた馬車を最終ラインにするッス。
「「「応ッ!」」」
クリフが告げたアルファベットはパーティーメンバーの頭文字である。
いちいち敬称まで付けて名前を呼ぶのが、まどろっこしいということで採用された案である。
アトモスが【
なお、クリフは【
この指示で【
相手は数週間前に歯も立たなかった【ハイオーク】
だが不思議と恐怖心はない。
こんなヤツらよりも、アルフォンスの訓練の方がよっぽど怖いと思ってしまっている冒険者たちであった。
「今の俺達の実力を測るには最適ッス。さあ、因縁の
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