二章『強く』なるために

十三話 旅

 






名前・ウルス

種族・人族

年齢・13歳


能力ランク

体力・401

筋力…腕・295 体・346 足・400

魔力・809


魔法・23

付属…なし

称号…【運命の束縛者】

   【記憶維持者】

   【龍神流継承者】

   【化身流継承者】




「……………」




 ミルがここに来て1年……俺は、自身の能力を見て色々と考えていた。


 ……最近はステータスの上がり幅も小さくなっている。このままでは打ち止めになるだろう。



(そろそろ頃合いか……)




「ウルスくん、おはよう!」

「うぉ…ミルか。」


 いきなり抱きつかれたので後ろを見ると、ミルがニコニコと笑っていた。

 一応、魔力感知は常にしているからそこまでびっくりしなかったが……いい加減やめて欲しいものだ。


「……いつも言ってるけど、いきなり抱きついてくるな。怪我をしたらどうするんだ。」

「えへへ〜ごめんごめん、でもウルスくんなら大丈夫かなって。」



 そう謝りながらもミルは離れない……まあ、もう慣れたものだが。


 



 あの日からミルは少しづつ元気になっていき、今では俺に抱きついてきたりするぐらいには心も回復していた。



「ウルスくんの手ってあったかいねぇ、ずっと握ってたいぐらいだよ!」

「……くすぐったいからやめてくれ。」





 だが………心の傷は、そう簡単に癒えるものではない。

 おそらく、こうやって抱きついてくるのも、その辛かった記憶や寂しさからくるのだろう……さすがに少し自重してほしいが、どうせ言っても聞かないだろう。


 


「……ところでウルスくん、今は何してるの?」

「いや……そろそろステータスの上がりが小さくなってきたと思ってな。」

「そうなの? でもウルスくんはもう随分強いよ? 私なんてまだまだだし……」


 そう言ってミルは自身のステータスを見せてきた。





名前・ミル

種族・人族

年齢・13歳


能力ランク

体力・101

筋力…腕・67 体・75 足・82

魔力・119


魔法・13

付属…なし

称号…【魔法の才】





「ほら、ウルスくんに比べたら全然弱いよ〜」

「でも、俺は称号の力あきりの物だし……ミルも頑張ってると思うぞ。同い年の奴らとは比べものにならないぐらいだ。」

「えへへ〜そうかな〜」



 俺がそう伝えると、ミルは嬉しそうに抱きつく力を強めてきた。いくらステータスが高いとはいえ、苦しいものは苦しいのでやめてほしいが………



「…………」





 ちなみに、俺が前世の記憶を持っていることはミルにも話している。

 最初、俺は気味悪がられると思って恐るおそる話したが、ミルは…………




『……でも、ウルスくんはウルスくんだし……そんなことは気にして無いよ。私を助けてくれたこと、優しいことには変わりないしねっ!!』




 ………と言ってくれた。前世の記憶の内容まではミルには言えてないので、その言葉は全てを知っての物ではないが………その言葉に俺は、少なからず救われていた。






 今はミルも俺と同じように師匠の特訓を受けている。流石に同じレベルとまではいかないが、ミルも歳のわりにはかなり強い部類にまで成長していた。



「お〜い二人とも、飯ができたぞ。」

「あっ、グランさんが呼んでる……行こ、ウルスくん!」

「ああ……行こうか。」


 ミルの後ろをついて行き、師匠含め3人で食卓を囲む。



(………決めた。)




 …………二人には悪いが……今は春だし、ちょうどいい時期だと思う。夜にでも師匠に相談するとしよう。












ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


















「……それで、話って何だ。」


 今は深夜。ミルはもう部屋で寝ており、師匠と俺は机越しに向かい合って座っていた。


「その、いきなりなんですけど……

















 ……少し、旅に出たいんです。」




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