第31話 幸せカナコの殺し屋生活   若林稔弥

 本当ならね! 過去の名作をもっとどんどん紹介したいの!

 でも現在進行形の隠れた名作を紹介しないと、続きが出なくてあっさり打ち切りとかあると思う。そんなの耐えられない!

 だからニコニコでばっちり読める、一巻が出たばかりのこれを勧めるの!(当時。現在は四巻まで続巻)


 ……はい、なんかいつもとはちょっと違ったテンションですが、紹介させてもらいますね。

 作者は徒然チルドレンの若林稔弥先生です。

 徒然チルドレンも良かったですね。高校生の(一部は違いましたが)恋愛群像劇で、どのキャラにも魅力があって、どの展開にも魅力がありました。

 片思い、両思い、告白、そして恋人。

 四コマで表現されたこの作品、いつの間にかマガジンで連載されてましたが、元はwebだったそうですね。

 うん、こちらも名作でした。全12巻なのでお勧めします。


 さて、幸せカナコの殺し屋生活 こいつがまたwebでやってるんですが、なぜ雑誌連載してないかというと、おそらくあまりにも不謹慎なんだからだでしょうね。

 主人公西野カナコ(西野カナではない)はブラック広告代理店に勤めていたのですが、パワハラによって退職。そして次に就職したのが殺し屋でした。

 はい! 冒頭からおかしいですね! 殺し屋って社員募集かけてるの!?

 それはまあ社長(もちろん殺し屋)から「まあうちを見つけられたんだから、それなりのスキルはあるんだわな」といった感じで流されるのですが。

 どうやってこんな求人見つけたのか、カナコ自身でさえ憶えてないという。


 そんなアホな始まりで、カナコは殺し屋と気付いてすぐに辞退しようとするのですが、なんと! この殺し屋は初任給60万、勤務時間10~19、諸手当ありという、超ホワイト企業だったのです!

 作者も欄外で「驚きの白さ――☆」などと言っております。

 うらやましいなあ。私もホワイト殺し屋になりたいです。


 そしてカナコ、真っ先に入社試験で課された課題が、自分が退職することになったかつてのパワハラ上司の殺害。

 これを「あ―――指が勝手に―――☆」とかいって見事成功させてしまうのです。

 そこからカナコの、ブラック通り越してダークネスな職種における、ホワイトな生活が始まったのです。


 いや~、もうすがすがしいくらいに殺していきます。

 元々の才能があったのか、先輩殺し屋も冷や汗流すぐらいに、見事な殺しっぷりです。

 このマンガ読んでると本当に、人を殺すのって楽しいなあ☆と思ってしまうのが怖いですね。

 いや、長年客商売してましたからね。そりゃ上司にも客にも殺したいやつは10人以上はいましたよ。


 そしてカナコ、人を殺してスッキリ。歓迎会では「お酒おいしー お肉おいしー」などとのたまっております。

 個人的には第3話で西野カナのトリセツの一部を引用しているところで腹筋崩壊ですが。

 マジマジマジマジアルマジロとかムリムリムリムリカタツムリとかの寒いギャグが、逆にこの作品では素晴らしいアクセントとなっております。


 殺したい。でも仕事以外で殺したらただの人殺し。

 当たり前じゃねーか、仕事でも殺しは殺人だよと思うのですが、仕事だったら平気で殺しちゃうカナコ、立派な異常者です。

 でも人間って一皮向いたら、コロコロ殺しまくる生き物かもしれませんね。

 他人を殺せないから自殺する。そういう意味では日本人は、人間を殺したいという願望を多く持ってるのではと思います。


 いや、もうこれ、反則的な面白さですよ。

 欄外における「正統派少女漫画的展開―――☆」とかどれだけ笑わせるのか。

 先輩の命令には逆らえないとか言いながら、むっちゃ楽しそうに殺してるやんけ!


 まあこのレビュー、なんだかんだ言って読んでくれる人そこそこいるみたいなので、ニコニコでどうぞ試し読みしてきてください。

 おそらく貴方もカナコの思考に同調し、明日から誰かを殺したくなるでしょう。

 史上最狂の殺し屋マンガ、ぜひぜひご覧ください。 

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