星を飲む人
雨世界
1 星は、命なんだよ。
星を飲む人
プロローグ
星を飲み、星を食べ、……星を生む。
君が僕に教えてくれた言葉
星は、命なんだよ。
本編
ほら、こっちだよ。
そっちは本当に危ないよ。
僕は古い赤色の煉瓦造りの暖炉に新しい薪を入れると、古い新聞紙と古いマッチを使ってその暖炉にオレンジ色の炎を(何度か失敗してしまったけど、だけどなんとか)灯した。
僕は暖炉にうまく火が灯ってくれてほっとする。
僕はそれから数回、だんだんと火が大きくなるように新たしい薪をオレンジ色の炎が灯る(それはまるで魔法のようだった)赤色の煉瓦造りの暖炉の中にくべていった。
するとしばらくして、僕たちの願い通りに暖炉の火は勢いを増していき、ずっと凍えるように寒かった薄暗い部屋の中の温度は上昇し、やがてその炎は、僕たち二人の体を芯から温めてくれうようになった。
「あったかいね」
暖炉の炎の明かりに照らされている君は、にっこりと笑って僕にそういった。
「うん。あったかい。とっても」
と、僕はにっこりと君に笑い返してそういった。(それだけで、僕の心は幸せな気分で満たされていった。本当に自分でも不思議に思うくらいに、このとき、僕は幸せな気分になることができた)
オレンジ色の炎に照らされている君は、本当に綺麗だった。僕はこのとき初めて、本当に心の底から、自分以外の誰かのことを、愛することができたと思った。(まあ、自分のことだって、僕は本当は愛することができていなかったのかもしれないのだけど)
君の長くて美しい黒髪からは、いつもお日様のような匂いがした。(それも当たり前のことで、君は僕にとって、まさに太陽そのものだった)すごく安心できる、温かい匂いがした。
ずっと忘れていた、……ぬくもりがあった。
僕は、……君を守りたいと思った。
本当に心のそこから君のことを守りたいと思った。
「ねえ、そっちにいってもいい?」
君が僕の目を見てそういったとき、僕はとても驚いた。
「一人じゃ寒いから、二人で一緒にくっついていれば、今よりは随分とあったかいと思って」
首を小さく傾けて、君は僕にそういった。
「うん。わかった。そうしよう」と僕はいった。
すると君は嬉しそうな顔で微笑んでから、くるまっていた毛布ごと、僕の隣にまでやってきた。
それから僕たちは、もう随分と前に忘れ去られてしまった、寒い雪の降る、冬の雪山のどこかにある古いぼろぼろの丸太で作られた山小屋の部屋の中で、二人で寄り添うようにして、ぱちぱちと気持ちのいい音を立てて、希望の炎を灯し続けてくれている、古い赤色の煉瓦造りの暖炉の前で、お互いの肩と肩をつっくけて、二人でずっと、言葉をあまり話さないままで、ただ燃え続けている、ゆらゆらと、ゆらめいている炎の姿だけを、見つめ続けていた。
僕たちのいる山小屋の外では、今もずっと雪が降り続いている。
ずっと、……ずっと。
暗い夜の中で。
……雪が降り止む気配は、今のところ、……世界のどこにも存在していなかった。
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