こんな好きじゃなかったら。
街宮聖羅
プロローグ
桜舞い散る今日この頃、俺は三年間通ったこの高校を卒業した。
卒業証書を片手に胸の第一ボタンを開けて、あちこちを歩き回る。
初めて授業を受けた一年生の教室。
喧嘩して窓を叩き割った二年生の時の教室。
他クラスの女子に告白された体育館用の下駄箱。
全速力で駆け抜けて体育祭一位を確定させたトラックフィールド。
そしてこの高校で最後の時を過ごした三年生の教室。
教室の中には誰もいない。つい最近まで騒ぎ倒していたときの声が壁に染み付き頭の中にあの喧騒が聞こえてくる。
ボロボロの机と椅子に腰を掛け、窓から景色眺める。つっても、見えるのはボロアパートとかコンクリート造りのマンションとか普遍的な建物ばかり。
つまんな過ぎて飽きる景色も今日だけは夕焼けに照らされた有名画家の絵画のよう。写真に収めたって、絵に描いたって味わえないこの気持ちを胸に刻み付ける。
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