第249話融合の終わり
321日目
恐らく、日本だけでなく世界各国が衛星画像を確認し融合された土地の把握に努めているだろうと思い、日本の対策室にゲートを繋げます。
「鈴木さん、昨日から今朝にかけて融合されたと思われる土地はどのぐらいになりましたか?」
「武内さん、今までゲート越しに話しかけて来るだけだったのに、地球に戻ったら堂々と対策室に入って来るんですね。 それで飲み物はコーヒーでいいですか?」
そう言って、コーヒーメーカーからコーヒを入れてカップを手渡ししてくれますが、この人、地球である意味異常な現象が起こってるのに普通にしてるってある意味凄いな…。
いや、もうどうにもならないから諦めたって感じかな。
「それで、融合されたと思われる土地ですよね、恐らくですが、昨日から世界各国で地震が頻発し、衛星画像で見る限り、かなり各大陸の形が変わっているので相当融合が進んでいると思われます。 とは言え日本列島は北関東に荒れ果てた大地が融合されたので若干形は変わりましたけど、それ以外は融合されていないのでそこまで大きな変化はありません」
「なら良かった、まあ太平洋上にクルセルを含む5か国が融合されるんで、潮流が変わって漁業に影響を及ぼすかもしれませんけど」
「その程度なら、まだ被害は軽微ですね。 日本でも火山活動が活発化しているとの報告もありますし、スケルトンも減る様子はありませんし、地球にとっても日本にとっても現状はあまりいいが無いんですけど」
「まあ確かに、ネレースが核を消滅させたから原発も停止し、火力、水力で電力供給をするは目になってるでしょうし、資源の無い日本にとっては厄介事だらけですね」
「そうです、そして、その弱みに付け込んで、インフラや資源開発の支援を条件に資源の優先取引を持ち掛けて来る人も居て頭の痛い限りです」
「まあ、その辺は日本もクルセルもお互い得をするって事で。 近い分、輸送費も安く済みますし」
「そうは言いますが、そうなると今まで取引をしていた国が輸出の減少で収入を失い貧困にあえぐ状況が生まれる可能性が高いんですよ?」
「確かに、まあ日本への輸出が減ってもそこまで大打撃は受けないでしょ」
そんな雑談を交わしながら、コーヒーを飲んでいますが、その間も対策室の面々は、各所に電話をし、目まぐるしく変化する状況の情報収集に努めている感じです。
恐らく、防衛省で把握している内容も、この対策室に届くのは遅かったり、伝えられなかったりしてるんだろうな。
その後も雑談をしつつ、対策室でのんびりしていますが、小耳にはさむ限り、各国から魔物が現れ被害が出たとか、慌ただしい感じです。
まあそうだよね、スケルトンならまだしも、魔物によっては魔法を使ったり、火を噴いたり、虫型に至っては飛ぶからね…。
多分、今日中には融合が完了するんだろうな…。
そう思いながら、コーヒを飲み終え、カップをテーブルに置いて、ゲートでクルセルに戻ります。
その後、クルセルと地続きになるよう太平洋上に融合される予定の国へゲートを開き、融合が終わっているか確認をするとどうやら5か国とも融合は終わり、無事地球上に存在しているようです。
暫くして地球上の国家が落ち着いたら忙しくなると各国に伝えますが、遂に外交交渉の本番がやって来るのかと皆さん肩に力が入っている感じです。
そんなに気合入れるほどなのか? 外交の講師はどんな事を教えたんだか…。
いや、自分が好き勝手に交渉をしているだけで、本来国と国の外交はもっと複雑なんだろうな…。
う~ん、自分も外交の講習を受ければよかった…。
まあいいか、資源が豊富なクルセルは自分勝手な外交でも何とかなりそうだし、自給自足は可能だし何とかなるね。
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