第191話反乱者捕縛作戦3

一番残酷な刑で処刑されると聞いて一人が落ちて何でも喋ると言い出すと、堰を切ったように拘束された異世界人が自分も、自分もと聞いても居ない拠点の事や幹部の事などを話しだします。


「き、貴様ら! 裏切るのか! 誰のおかげで幹部に取り立ててやったと思ってるんだ!」

我先にと命乞いをし、暴露を始めるに異世界人に野田課長は唖然とした表情を浮かべ、即座に金切り声をあげ罵倒を始めます。


「う~ん、とりあえず、この世界の人達は別室に連れて行って取り調べして、判明してない拠点があればそこに兵を出して制圧して貰えますか?」


そう兵士長さんに依頼をすると、兵士長さんも野田課長が騒がしいうえ、我先にと暴露を始める幹部達にうんざりとした感じだったのでしょう。

自分の提案をあっさりと受け入れ、異世界人の幹部のみを他の部屋に連れて行きます。


広いりリビングには野田課長と山科、柳瀬、星野、広瀬、船津、三好の7人だけが取り残されますが、野田課長以外は全員が真っ青な顔をしてこれから自分達がどうなるのかを心配しているようですが、野田課長は一人だけ喚き続けます。


「武内、私を拘束する理由は何だ!! 証拠を出せ! あんな異世界人のいう事だけ信じてこちらの言い分も何も聞かず罪をかぶせるなど許されるわけがないだろう! 弁護士を呼べ!」

「野田課長、異世界に弁護士はいませんよ、それに別室に連行された人間が生き証人ですから、社会主義を広めて国を乗っ取ろうとした事実は消せませんよ」


「だれが国を乗っ取ろうとしたと言うんだ! 反乱も奴らが勝手にやったことで、我々は関知していない! それどころか、争いを起こさないようにしていたんだぞ!」

「そうですか、じゃあ何で書記長なんて役職を作って指導者になってるんですか? それに逆らった人間を殺害してますよね?」


「そんな事は知らん、それも全部異世界人が勝手にやった事だ! 証拠も無く拘束してタダで済むと思っているのか? お前のように自分の利益ばかりを考える奴ばかりだから、私が提案したシステムをこの国の多くの人間が受け入れた結果だろう」

「てことは社会主義を広めてその指導者になろうとしたことは認めるんですね? そのうえ異論を唱えた人間は異世界人を使って粛清したと」


「それがどうした、お前は自分の都合の悪い人間を排除してるだろう! それと同じことをやって何が悪い! 私が広めた主義だって、武内、お前が自分の利益を追求する為に邪魔だから潰そうと思ったんだろう」


そう言って喚き散らす野田課長ですが、さっきまでは自分はただの商家の主だって言ってましたが、既に自供をしています。

ほんと、ロクに働かずに利益を得て自分達だけが人の上に立ち、楽して暮らしたいと言う典型的なタイプなのでしょう。

まったく自分のしてた事が国に混乱を招き、このままでは多くの血が流れる可能性があったことなど自分には関係ないと言った雰囲気です。


「自分は自分自身の利益だけを追求なんかしていませんよ、純粋に異世界に飛ばされた人達が自活出来るように下地を整えた、その為にお金を稼いでいたんです、それをロクに働きもせず人の金で生活しようなんて考えていた結果がこれでしょ?」

「ふざけるな! まともな法律も無い、王が管理する低俗な世界など我々日本人の文明的な生活を送っていた人間が導いてやることが異世界人も幸せに決まって居る!」


「それはただの自惚れですよ、確かに人の命の価値は日本と比べて低いですけど、それでもこの世界の人は自分達で考え、それぞれ毎日の生活を精一杯送ってるんですから、そんな世界の統治システムに日本人が口を出す事じゃないんですよ」


そう言って一応もっともらしい事を言って野田課長を諭してみますが、どうやら全く自身は悪くないと思っているからか、自分が気に入らないからなのか、全く聞く耳を持っていません。


「武内、覚悟しておけよ! 日本に戻る事が出来た暁には、真っ先にお前の悪行の数々を暴露して日本で生活できないようにしてやるからな!」

「あ~、野田課長は反乱を煽動して国を乗っ取るのに夢中だったから知らないんでしょうが、既に日本政府と接触がもたれていて、野田課長を含めた7人が自分達の利益の為に社会主義を広めて国の乗っ取りをして異世界人に迷惑かけてるって日本をはじめ世界のマスコミでも騒がれてますよ。 日本に戻っても元の生活に戻れないのは野田課長達ですよ」


そう自分が言うと、野田課長をはじめ拘束された日本人全員が顔を上げて、日本に帰れるのか? と聞いてきます。


「まあ現状条件付きですが帰れますよ、ただ野田課長達の処分はパルン王国が決めるんで自分は知りませんが、他の日本人で条件があえば帰りたい人は帰れるでしょうね」

「何故だ! 我々は拉致されてこの世界に来たんだぞ! 帰れるなら日本に帰らせるのが当然だろう」


「はぁ~、ほんと自分中心の考え方しかしないんですね…。 日本政府とパルン王国は治外法権の条約もなにも締結して無いんですよ? なら罪を犯した国で裁かれるのが当然でしょう」

「武内、だからお前は駄目だと言うんだ、我々を害すれば日本政府も黙ってはいない! そうだろう、それをこの国の幹部に知らしめればいいんだ! そうだ、そうすれば我々日本人は重要人物として丁重に扱われるべき人間なんだ」


「もう言っていることが滅茶苦茶で呆れてものも言えませんね。 日本政府からしたら野田課長達はハッキリ言って地球上の全世界に悪行をしでかした人間、日本人の恥としか認識されてないんですよ? マスコミでも日本に戻ったら一生刑務所に収容するべきだなんて報道されてるぐらいに」


「それがどうした! 日本に戻れさえすれば、多少騒がれようが、我々は裁かれることは無いんだ、なんせ日本で反乱を煽動すれば犯罪だが異世界での事を日本で裁く法律は無いんだからな、あとは条件を満たして日本に戻れさえすればいいんだ、武内、お前は余計なことを口にしたみたいだな!」


そう言って何か勘違いをして急に強気になった野田課長の相手も疲れたので、後は兵士に任せて連行を依頼します。


うん、ここまで頭がおかしいとは思わなかった。

ていうか、日本の倫理から解放されると人間ってこうなるのかな…。

まあ確かに日本の倫理から解放されたら自分もしがらみも無く、やりたい放題してるからある意味同じ穴のムジナか。


まあ自分はああならないように気を付けよ。

あとは日本政府だけど、どういう見解をするかだよな。

最悪、パルン王国に依頼して処刑して貰ってもいいし、とりあえず鈴木さんに報告だけしとこ。

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