第9話異世界で迎える初めての朝
「マ…ト…ま」
「マサト様」
「そろそろ夜が明けますぞ」
「うぅうぅぅうん」
「あと5分……」
「マサト様、夜が明けますぞ」
「ああ~朝か~」
寝ぼけ眼で寝床だった洞窟を出ると外はまだ真っ暗でした。
「もう夜明けなの?」
「はっ!まもなく空が白んでまいります。今のうちに食事をとられたらいかがでしょうか?」
ゾルスが代表して起こしに来てくれたようで、ロゼフとバルタ、そしてハンゾウは焚火の周りに座り肉を焼いてくれています。
「ありがとう」
とりあえず草むらで用を足し水魔法を応用して手で水をすくうイメージで水を出し顔を洗います。
そのまま水を飲んで、うん、コーヒー飲みたい、カフェインが欲しい……
焚火のところに行き焼きあがった肉を頂きますがうん、素材そのままの味が際立ってるよね。
塩気も無いし、アクセントもないし……
肉を食べ終え甜瓜もどきを食べ終えたころ、空が白んできました。
「ステータスオープン!」
ステータスを見るとMPもほぼ回復しています。
あとで落ち着いたら何分でどのくらい回復するのかの検証も必要ですね。
うん、異世界は検証しないといけないことが多すぎだ。
それに、元居た世界と違って何にもない。せめてコンビニくらい1キロ置きに作ってくれないと!
ほんと何のための神様なんだよ。
とりあえず町に行って…、まあ町もどのくらい栄えているのかわからないけど、温かいベッドと味のある食事を堪能しないと。
「さてかなり明るくなってきたので本番と行きますか!!」
気合を入れて昨晩作った大岩の前に集まりました。
失敗したり途中で真っ二つに割れたりしないことを祈りつつ転がす方向をロゼフと相談して最終調整をしていきます。
大体100メートルくらい大岩を錬成できたのでしょうか。
「よし、じゃあやっちゃいますね」
ゾルス達ゴブリン全員がうなずきその時を固唾をのんで? 見守ってます。
地面に手を触れ魔力を流し込みます。
地面の岩が少し盛り上がりゆっくりと丸い大岩が転がり始めます。
ゴロ! ゴロ! ゴロゴロ!!
徐々にスピードを上げ斜面に転がりだしました。
ゴロゴロゴロゴ!! バキバキ! ゴロゴロゴロゴ!
バキバキ! ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!
地面が揺れ木々をなぎ倒し大岩が転がって行きます。
「? あれ。 地面を伝って振動が…なんか揺れてる?」
「確かに揺れてますな」
後ろのほうに控えるゾルスがそう答えるとロゼフもバルタもハンゾウも揺れてるとうなずいてます。
ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!
グラグラグラグラ
ゴォーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
「え?」
足元を見ると地面がひび割れてひび割れが閉じたり開いたりしています。
「マサト様危ない!!!!」
ゾルスの声が聞こえた瞬間、今まで自分が立っていた場所が崩れ落ちていきます。
「うわ~!!!」
落ちると思った瞬間、体が宙に浮く感覚とともに首が締まるような感じで崖の上でブラ~ンとしてます。
うん猫が首を掴まれてブラ~ンってしてる感じです。苦しいですが…
咄嗟にゾルスが服の首根っこを掴み落ちるのを防いでくれたようです。
そのまま奥の岩場まで運ばれ地面に降ろされました。
「マサト様、お怪我はございませんか?」
「ゲホゲホ、ゾルスありがとう。危うく巻き込まれて死ぬとこだったよ」
「いえ、間に合ってよかったです。主を失うなど我らの恥でございます。死んでも死に切れません」
うん、例えのつもりだろうけど、ゾルス達みんな一度死んでるからね。
むしろ今アンデットだからね。
うんそれにしてもまさかのがけ崩れとは…
崩れた斜面を見るとはるか遠くまでかなりの幅で地面がむき出しになってます。
どうやら大規模な、それも甚大災害級の地滑りと土砂崩れが発生し雪崩のように木々を巻き込みはるか遠くまで被害を及ぼしたようです。
見た感じ自分たちのいる場所を起点に扇状になってます。
一番幅がある場所で約3.4キロくらいでしょうか。
川と思われる場所までも直線で20キロくらいありそうです。
「これは…道どころか山が崩れてしまうとは、はるか先の川まで土砂が…川が土砂で埋まっているようですぞ!!」
ロゼフが驚愕の声を発し現状を伝えてくれます。
「やば…!!!」
そう言葉を言おうとした瞬間、目の前がグニャリと歪み眩暈のようなものに襲われ、胃から食べたものが逆流してくる感じです。
「オェェエェェェ…」
さっき食べたものが逆流し胃が空っぽになります。
「マサト様、如何いたしました!!」
「大丈夫でございますか!!」
ゾルスをはじめロゼフ達も慌ててどうしていいのかわからないようです。
「ピロリ〜ン♪」「ピロリ〜ン♪」「ピロリ〜ン♪」「ピロリ〜ン♪」「ピロリ〜ン♪」「ピロリ〜ン♪」「ピロリ〜ン♪」「ピロリ〜ン♪」
画面が現れ何か表示されいます。
【モンスター討伐1000体 1位 19時間36分11秒】【ステータポイント100付与】
【モンスター討伐10種類 1位 19時間36分12秒】【ステータポイント100付与】
【モンスター討伐5000体 1位 19時間36分16秒】【ステータポイント200付与】
【モンスター討伐10000体 1位 19時間36分38秒】【スキル付与】
【異世界人殺害 1位 19時間36分38秒】【アイテムBOX強化10×10】
【レベル50到達 1位 19時間36分38秒】【スキルポイント100付与】
【レベル100到達 1位 19時間36分38秒】【スキル付与】
【レベル200到達 1位 19時間36分38秒】【アイテムBOX強化∞×∞】
「オェェエェェェ…」
音が鳴り何か通知がされているんはわかっているのですが吐き気が収まりません。
眩暈のように景色がグニャリと歪み立つことすらできない状態です。
「オェェエェェェ…」
「ハァハァハァハァ」
少し吐き気が落ち着きましたがまだ眩暈がしてます。
その場に座り込んで水魔法で水を出し飲み続けます。
「ハァハァハァハァ」
少し落ち着いたのを見計らってロゼフが声をかけてきました。
「落ち着かれましたか。」
「ハァ~ハァ~ハァ~ハ」
「うん、少し落ち着いてきた…」
「マサト様、ステータスを見ていただけますか?」
「ステータス? わかった、ステータスオープン!」
目の前に映し出されたステータスのレベルを見た瞬間、一瞬何が表示されているかわかりませんでしたが、次の瞬間レベルとステータスが異常に上昇していることに気づきました。
「レベルとステータスが異常に上昇してる…」
「なんと、でしたら急に成長した力に体がついていかなかったのでしょう、しばらくすれば収まると思います。身の丈を超える者を倒した者が時にそのような症状に見舞われたのを見たことがあります。」
ロゼフが落ち着いた様子で話すとゾルスが食ってかかってきます。
「そんなことでここまでになるわけがないだろう!!!!」
「ゾルス、もう大丈夫。多分ロゼフの言っている通りだから」
改めて画面を見るとモンスター討伐1000体、モンスター討伐10種類、モンスター討伐5000体、モンスター討伐10000体、異世界人殺害、レベル50到達、レベル100到達、レベル200到達
「なんかレベルが200を超えたみたい。それでステータスが大幅に上昇したみたいだね」
「それにしても異世界人殺害ってあるんだけど、この土砂が崩れたあたり人間ってよくいるの?」
質問に対しゾルスの回答はあまりいないとの事でした。
ロゼフはこの辺りに居るのはおそらく盗賊や野盗といわれる人間の中で爪弾きされた者たちとの事でしたが、まさか自分が間接的に人を殺してしまうとは、なんか気分がふさぎ込んでしまう感じです。
「マサト様、あまり気にされんほうがよろしいかと。 それにこれは明らかに予想外、だれもこんなになるなど夢にも思いませんので」
バルタはバルタなりにフォローしてくれているんでしょう。
とりあえず町に向かうという目的を達成するまでまずは、異世界人殺害を思い出さないようにしましょう。
町について、町の人か盗賊か調べてもし町の人だったら何かしらの償いをしようと思います。
まずは町に行くことですが、なんといっても目の前は崩れたばかりの土砂崩れ現場、崩れたてほやほやです。
「ハンゾウ、危ないかもしれないから気を付けて崩れた場所を進めるか確かめてきてもらえる?」
「かしこまりました!」
「気を付けてね、危ないと思ったら帰ってきてね」
「はっ!!」
そういうとハンゾウは器用に崖をおりて通れるか確かめに行きました。
うん、猿みたいだ…猿が飛んで猿飛…サ〇ケ…サ〇ケ…写〇眼…なんか便利そうだし改名させようかな…。
そんなどうでもいいことを考えているとゾルスが声をかけてきました。
「マサト様、ここが通れるとして町まで行かれるのですか? 本日は休まれては?」
ゾルスも心配をしてくれてるのでしょう。
「大丈夫、通れるとわかれば一気に通って町までの距離を稼ごう」
「かしこまりました、まずは様子を見に行ったハンゾウの帰り待ちですな」
「そうだねとりあえず今のうちにステータスとポイントの振り分け、スキルの獲得をしておくよ」
「マサト様の能力はうらやましいですな。 スキルをそれも特殊なものを獲得できるとは…」
ロゼフがなんかうらやましそうな顔で見ています。
うん、あげないよ、むしろあげれないからね。
とりあえず羨ましがるロゼフをしり目にポイントの振り分けとスキル取得に集中しましょう。
スキルの一つ目は「付与魔法」うん昨日の夜にロゼフが付与魔法で武器が強化できるって言ってたしね。
あと一つは何にしよう…。
う~んヘルプとかスキル説明書とか用意しとけよな~あの神!!
ほんと…「影魔法」これはどうだろう。ゾルス達ゴブリンが影に入れれば連れたまま町に入れるんじゃない?
「ロゼフ、影魔術ってしってる?」
「影魔術でございますか? 聞いたことございませんな~」
「そうか~、う~ん外れだったら痛いけど当たりならかなり便利だしな~」
「よし、影魔術行っとこう!! ハズレだったら次回スキルゲット時に役に立ちそうなの取ればいいし」
「あとはステータスの振り分けか~」
さてどうしますかね…
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