第5話山頂へ
アイテムボックスにあったパン、普通にモシャモシャして口の中の水分をガッツリ奪われるパンでした。
あんまりオイシクナイヨ~。
パンを食べ終え水魔法で出した水を飲んでこれからどうするか考えているとゾルスが声をかけてきました。
「マサト様、あらかた魔石と使えそうな物の回収が終わりました、こちらに」
そう言って渡された血の滴る布のような目の粗い袋・・一瞬受け取るのをためらってしまいます。
うん魔石死体から抉り出してたもんね、血も滴るよね…。
次回からナイフとか使ってスマートに取り出すように指示しよう。
「ご苦労様、ありがとう」
そう言って受け取り水魔法で袋ごと上から水を流して血を洗い流します。
「どのくらいあったの?」
「そうですな、数は数えていませんがわが群れは大体500程ゴブリンがいましたので大体400くらいはあるかと」
「ただ普通のゴブリンなので魔石は小さく魔力も弱いですが」
「ありがとう」
そう言ってアイテムボックスに魔石入りの袋を入れます。
ロゼフがアイテムボックスに収納するのを見て目を輝かせてます。
「マサト様、そのアイテムボックスのスキルどのようにしたら手に入るのですか?」
どうやらロゼフはアイテムボックスのスキルが欲しいようですが、普通のスキル取得方法なんてわかりません。
「ごめんロゼフ、通常のスキルの取得方法は知らないんだ」
ガックリと肩を落とすロゼフを横目にバルタが声をかけてきます。
「マサト様、魔石のほかにナイフ18本・長剣10本ありますがこちらはお持ちしますか?」
「それだけ?」
500の群れなのに意外と武器少ないとおもっていたらゾルスが少ない理由を説明してくれました。
要するに、鉄の武器は人間を殺して奪ったものでこんな奥地まで来る人間はまれなのでほとんどのゴブリンは動物の骨を磨いたり、石斧を作ったり、木の棒を棍棒代わりに使ったりしてたそうです。
「そうか~、ここ人もめったに来ない奥地なんだ…」
「近くの町ってどの辺にあるかわかる?」
質問にはロゼフが答えてくれました。
「近くの町というよりも城塞都市のようなものがこの山の向こう側にある川を下ればあるのですが、森を抜けるので大体歩いて5.6日はかかると思います」
「城塞都市? この辺りは戦争とか多いの?」
「いえ、人間同士の争いはこの辺りではあまり聞いたことはございません」
「そっか、よかった。 それにしてもここから5.6日か~遠いね…」
「とりあえず、この山の山頂まで行って今日は休もう」
「道すがら食べれる木の実とか果物とかあったら採取して来て」
「「「御意」」」
そう言って斜面を登り山頂を目指します。
先頭はバルタ・真ん中に自分とロゼフ・殿はゾルス
レベルが上がったおかげかさっきまでと打って変わり足取りも軽くサクサク登っていけました。
途中、鹿っぽいのが居たのですが、即バルタの槍で貫かれ手慣れた様子で血抜きをされてました。
バルタは「マサト様に振舞う肉をご用意できましたぞ~」って誇らしげですが、もう少し普通の野生動物を観察したかったです。
その後、オークや数匹のゴブリンが現れましたがバルタの槍で物言わぬ屍になりました。
日が傾きかけたころ山頂に到着しましたがそこはゴツゴツした大きな一枚岩のようで雨風をしのげるような感じの場所はない感じなので、少し下ったところにロゼフが土魔法で横穴を掘り簡易洞窟みたいなところで今晩は休むことにしました。
「異世界に転移して最初の夜か~」
ふと出た独り言にバルタが胸をたたいて「見張りはお任せを」との事でしたが、「休まなくていいの?」との質問にロゼフが答えてくれました。
「生者は休みが必要ですがわれらアンデットに休みは必要ありません。 もちろん睡眠も食事も…」
「じゃあ食事とか食べれないの?」
ふとした疑問を投げかけましたが返ってきた答えは意外でした。
「腹はすきませんが食べることはできますし味も感じます。生きているときは生きるため、死んでからは娯楽ですな」
だそうです。食べなくてもいいけど味を楽しむことはできるみたいです。
いつか美味しい手料理でも振舞ってあげたいですね。
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