第2話 妹っていう概念がそもそも神
状況を整理しよう。
俺は元々男だった。
俺は世の中で生きていくことに何の生き甲斐も感じなかった。
だから、首をつった。
そして女子高生になった。
しかも妹ができた。
でも、よく言われている異世界転生モノと違うのは、ここがまだ俺の知ってる世界線、いわゆる数百年後とかいう規模で変わってない世界という事だ。もちろん魔物の類もない。
家族構成さえ変わってない。
妹という俺の望んだものが出来て、女子高生になっていたということを除けば俺の知ってる世界だった。
「どうなってるんだ…?」
俺は、女の声でそう言った。
でも段々とこの身体にも慣れてきた。
なんか闇の世界の魔王みたいに身体に憑依したみたいな表現になってしまったが、実際にそうなのだ。
ただ性別が変わっただけでなく美少女になっただけでなく、筋力もそこそこと言った形でパワーアップしていた。
その身体だというのに妙にしっくりくる。
いや、自分の身体なのだから当たり前なのだが、俺はさっきまで男で、しかもおっさんだったんだ。
混乱するなという方がおかしい。
「ちょっと、どうしたのよ。今日は生徒会のお仕事があるから早くご飯が食べたいって言ったのはあなたじゃなかった?香織」
そういって、話しかけてくる母親。
この現状を変だと思ってない。
しかも香織、だと?
名前まで違うのか。ますますありえんな。
でも、俺以外の全ての環境が俺がそうだ、と訴えている。さっき顔をつねってみたけどしっかり痛かった。
これは一種のパラレルワールドだろう。
現実的にはありえないこの状況だが、なってしまった。
そして、いざこの境遇になってみるとついていけない、となってしまう
だから俺があーだこーだ考えたところで、正解を答えてくれる人なんていない。
────よし!おれは今日はら香織だ!
俺はありがたくこの妹がいるというパラレルワールドを堪能することにきめた
なにか問題があるだろうか。
妹がいるんだぞ?
確かについていけないことだらけではあるけど、そんなの些細な問題だ。
妹がいるというだけでこっちが正しいと心のそこから思える。
家族構成はとりあえず問題はないだろう。
だがそれ以外はどういうふうに補完されているんだ?
俺はとりあえず身近にあった端末から
一人の親友のアドレスをひらいてコールした
「もしもし。どうしたんだよこんな時間に」
「俺だ!信介だ!」
「いや、誰だよ。信介って。男みたいな名前だな。まだ寝ぼけてるのか?香織」
「・・・あ、いやすまん。さっき起きたところだったから、まだちょっとな」
「男口調のままだぞ気持ち悪いな。お前がその調子だとこっちの調子もくる──お!起きたか、紗弥。そろそろご飯できるから、顔あらってきな。」
そういって電話口の向こうから可愛らしい声で、あーい!という声が聞こえた。
「相変わらずお前の妹はかわいいなあ」
「おい香織。いいのかそんなこといって。お前の妹に訊かれたらまた怒られるぞ」
「あーいやちょっとその話はまたあとで。ところで、お前・・・アンタ、私と話してどこか違和感感じてない?」
「なんだよいきなり。別になんともないぞ。いつもどおりの香織だ。変なことで電話してくるなよないちいち。妹のメシ作ってやんなきゃいけないからまた学校でな。じゃ」
そうやって電話は切れた。
俺は切れた画面数秒見つめていた
画面には三戸新と表示されていた。
こいつは、俺の昔からの友達でもう何かあったらお互い連絡をとるくらいの付き合いだ。
「あいつの家の環境はあまり昔とかわってなかったけど、三戸って料理できたんだっけ・・・?」
たしか昔は料理なんてできなかったはずだ・・・
カップ麺ばかりたべていたはず。
「とりあえず分かった事は、家族だけじゃなく世界中で俺が信介ではなく、香織だと認識されているということがわかった。そして妹がいるということが一番大事だ。うん。」
そんな感じで再度実感していると、廊下から足音がした
「ちょっと、お姉ちゃん。そろそろ本当に支度しないと本当に遅れちゃうよ。」
「あ~~~~~かわいい~~~~~うん、わかった!準備するからまってて!」
「え、いやいやなにいってるの。入るよ?」
「えっ」
そしてドアが開け放たれた
「っていやいやいやいや!着替えるんでしょ!?どうして入ってくるの!」
「いや、だっていつも着替え手伝ってるじゃん。いい加減観念して後ろむく!」
「え、いや、ちょ」
まてまてまてまて。なんだこのご褒美は!?
最高だ、妹がほしいと思っていたが、まさか妹にお世話してもらえるだと!?
ていうかお世話してもらえるっていうのは、つまり俺はダメお姉ちゃんっていう設定なのか?
でもそれはそれで、妹と絡む機会も増えるということだし、悪くないのでは?
妹と絡むことができるんだったらもうなんでもおっけーです!
「なんかいった?お姉ちゃん」
「いや、なんでもないよ。とりあえずよろしくおねがいします!」
「う、うん・・・変なの」
──そんなこんなで、着替えはおわった。
ここだけの話だが、妹が俺の下着を取り替える時にめっちゃ息を殺した。
たぶんいまの俺ほど気持ち悪い人類はいないってレベルには気持ち悪かっただろう。
「これでよし、っと。じゃあ学校にいくよ!お姉ちゃん!」
「うん!いこう!」
妹と登校・・・俺はこの世界に祝杯をあげることを決意した
首を吊ったら女になって妹もできた…!? ジョリアン @jorian0702
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