僕の恋は盲目らしい。

53ちゃん。

第1話 僕は僕でもいい。


僕の学校は、

性別が男なら「男の子だから」と男の子の格好をする。

性別が女なら「女の子だから」と女の子の格好をする。


当たり前だと言われたらそうなんだと思う。僕はずっと自分のことを「僕」と言う。


そんな僕はここの高校に受かって入学した。入学式に出たら、周りから飛んできたのはいつもの言葉だった。


「あの子、なんであんな服着てるの?」

「気持ち悪い」

「おかしい」


僕は僕だからその服を来ているだけなのに何故か周りは冷たく凍って固まったかのような空気に合わせて口を揃えていた。そんな時、僕の入学式のときに横に座っていた女の子が僕に向かって言った。

「初めまして、私は藍沢のあ。のあって呼んでね。」

少し驚いた。僕に話しかけてくるなんて思ってなかった。だって、周りはみんな僕のことを僕として見てくれないから。

「僕は梨乃。」

そう僕がいうと、のあは僕の目を真っ直ぐ見て、何かを分かっていると言うように微笑んだ。

「よろしくね、梨乃」

そう言って話しかけてくれた。初めてだった。

そして、のあは続けて言った。

「梨乃は梨乃だよ。私は私だよ。」

のあはそう言って僕をまた見た。彼女の長い髪が揺れた時、僕はきっと落ちていたんだと思う。そして、思った。


「僕」は「僕」でもいい。


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