敏腕経営者と初心な学生の熱愛事情
糸長 忍 様作
【あらすじ引用】
英語の得意な高校三年の小田純己は推薦で受験を終え、気になっていた先輩の室川と同じ大学に進学が決まり、室川の近くの英会話教室に通うことに。入校時のレベルチェックでニック・スチュワートに英語の実力を標準レベルのミドルクラスだと言われてニックが嫌になる。ニックは逆に小柄で美少年の純己に一目惚れをしてしまう……。純己が講義中に教室を飛び出し、彼女と一緒にいる室川と再会した場面をニックに見られたことで、純己は自分がゲイであることをニックに告白。それで教室を去るつもりだったがニックから諦めきれないと愛の告白を受け・・・。
ひょんなことから純己はニックの会社がスポンサーを務める英会話のラジオ番組に出演することになる。
純己はニックを講師の一人だと思っていたが、実は世界的に活躍する英会話スクールの経営者だった。
ニックの猛アタックもあって二人は付き合うことになるが、
純己の可愛さと純朴さに立場も忘れて年の差恋愛に夢中になるニック。
そんなニックに深く愛される純己は、立場の違いに引け目を感じ、戸惑いを見せるが・・・。
【良い点】
冒頭の「階段は少し狭くて急だった。」は、まるでこれから、恋に落ちる予感をさせる一文である。この物語は、主人公の恋が終わりへ向かうのと同時に、英会話講師の恋が始まっている。始まりの部分では主人公視点で綴られており、自分に好意を寄せる相手に対し、不快な気持ちしか持っていない。
恋愛感情とはとても不思議なもので、相手の好意を好意とばかり受け取れるものではない。この物語でも、二人の気持ちの噛み合わなさを表現しているようで、とても面白いと感じた。
冒頭の方で、主人公は自分が駅の近くの英会話教室に通う理由を、自分自身に言い聞かせている。つまり、言い聞かせなければならない”何か”があるという事は想像に難くない。その後、主人公の想いは講師を待っている間に語られていくこととなる。心情描写がとても丁寧で、分かりやすい。特に講師に対しての嫌悪は分かりやすく、この後どうやって惹かれていくのかとても気になる。
講師の方は、分かりやすい手で主人公を手元に置こうとする。しかも、主人公はそれに気づいている。面白い展開だなと感じた。
【気になるところ】
作品自体についてではないが、受付のお姉さんはタメ口で大丈夫なのだろうか?とツッコミたくなった。
(上司から怒られたりしないのだろうかと(笑))
【凄いなと思ったところ】
主人公の好きな相手に対しての言動がナチュラル。それに対し、講師の方は自分の欲望に忠実だなと感じた。職権乱用してまで自分のクラスに置き、外に飛び出した主人公を追いかける。変だと思いながらも抗うことも出来ないし、不満があってもどうにも出来ない理不尽さに、リアリティを感じる。二人の一方通行過ぎる恋がどう変わっていくのかとても楽しみな物語であると思った。
(なろう向け感想です)
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