セックス、ドラッグ、ハイド&シーク

青井うい 様作


───単調な日々、依存、彼を満たしたその人。変わりゆく心と日常。


【この物語は】


セックス依存から抜け出せない主人公が、ある人物と出逢う事から始まる。それは、セックス依存症の自分を足してくれる相手でもあった。会社でストレスを感じながら、セックスのことしか考えられない主人公。通常物語は、依存を直したいという方向に向きがちがだ、満たされるという新しい方向へ進んでいく。その中で勃発する悪質クレーマーからの連絡。果たして主人公は幸せになれるのだろうか、というのが注目すべき点だ。


【この作品に触れる前に】


作品をより理解するために、セックス依存症とは何か、について調べることから初めてみた。

セックス依存症とは、幼少期に親の愛情を受けられなかったモノがなりやすく、性的なものに依存してしまう状態のことで、大人になってもストレスなどによりなったりする病気。つまり、セックスをしている間だけ、愛されていると錯覚してしまったり、性的なことそのものによる快感でドーパミンが出るわけだが、もっとドーパミンを出せと脳が指令を出すことにより、依存してしまう。しかも通常のセックスでは満足できず、複数の相手や更なる刺激を求めてしまうらしい。概要はこんな感じだ。


これが満たされる相手という事は、相当な相手であるという事。

作中でも、その点については触れられている。


【依存とクレーマー】


物語は、大きく分けて前半、中盤、後半となるように感じた。前半では、会社とセックスという単調な日々の中でのストレスの原因に触れており、自分の性壁についても触れられている。自分がゲイであることをカミングアウトでず、女に言い寄られるのも多大なストレスの原因だと思われた。これは自分自身も経験があるので、それほどストレスなのか共感できた。好かれることそのものが、ストレスなのだ。


中盤に差し掛かると、相手の高校時代の出来事や、友人の暴露話など周りの人物にも焦点が当たり始める。このあたりから、主人公の心境にも少し変化が出たように感じられた。


【干渉しないと約束した相手とは】


主人公の人生の分岐は、後悔したセックス。セックス依存症には、後悔というものがない。つまり彼は、心の変化により変わり始めたと言えよう。

今まで起こり得なかった感情が己を支配し、過去に想いを馳せることとなる。

人生の分岐という点では、最大の山場に感じた。

後悔により、自分にとって何が必要か気づき始める主人公。

段々と相手に興味を持ち始め、今まで回らなかった歯車が、突然音を立て動き始めたような驚きと、約束を違えてしまうのでは?

という不安を感じながら、読み手は先を読み進めることとなる。

彼が幸せになっていく期待、もしかしたダメになってしまうかも知れない不安どちらも抱えて。


主人公が幸せを手にすることができるのか。

最後まであなたの目で確かめてみませんか?

是非お手に取られてみてくださいね。おススメです。

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