咲くことのない花

硯 羽未 様作


───解放したいと願う愛。真実に気づき始める時。

【裏表、真実はどこ】


この物語は主人公での美大生が、ある絵本作家と出逢う事で始まっていく。ミステリアスな彼女の心が少しずつ解き明かされ、真実が見えた時主人公もまた少し成長する。彼が心から幸せになれるのはまだ先のことだと思うが、ここで彼の求めているモノも見えてくる。


【確かめたかっただけのはずが】


この物語は、セルリアンブルーとインソムニアを結ぶ物語である。時間の軸としては恐らく前になるのだが、セルリアンブルーでは、この物語で想いを寄せていた相手との交わりがあり、この物語でチラリと触れている彼との物語がインソムニアである。


インソムニアで出てくる彼との出来事が、主人公には棘のように刺さっている。性に奔放ではあるものの、タチである自分にネコを覚えさせた相手自体が気になるのか、単純にネコもイケるのか、それを試すためだったと自分は解釈する。ただ残念ながら、この物語での相手はリベンジという形で少なくとも、快楽はあるということを示してしまったため、インソムニアにて”特別”には繋がらない。


しかしながら、主人公が現在のようになってしまったのには理由があり”呪縛”とも言えるものから解放されない限り、心から誰かを愛したり、その事によって幸福を感じたりするのは難しいと思われる。


【絵本作家の女性】


彼女言葉、気持ちには偽りはないだろう。しかし最後まで読まないと、真実にはたどり着けない。

愛するからこそ、解放したい。

愛とは何も、好きあうことではなく。相手の望む人生へ、自分から解放することも純愛と呼べるのではないだろうか?


深く読まないと分からない部分もあるかも知れないけれど。

この物語を読むことによって、セルリアンブルーシリーズを深く読み解くことが出来ます。

是非、お手に取られてみてくださいね。おススメです。

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