ホンニャク

猫撫で声で猫誘う、中年男にちょっかい出すな

何が悲しくても、何があっても、何を失おうと

秋風が忍び寄るのは夏季限定のさまつな不始末

まわるのは熱の移り、たくされるのは余分な掌


「君はどこから来たんだい?」

猫語では「ニャニャーン?」


「ウーニャ、ニーニャニーニャ、ニャニャニャーゴ、ウニャー!」

人語では、「てめえ、いい匂いさせてんじゃねえかよ、なんか出せや、クソが!」


引き絞られた緑の瞳は、まるで怒りの白ブドウ


「おじさんね、……娘が嫁いでしまって、寂しいんだ」

猫語では、「ミー、……ウーニャンニャ、ニャニャニャオ~ン」


慰めの言葉、猫語ではただ、額こすりつける、それだけ

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