横合いから失礼します
横合いからあなた様のあごに、肘打ちをあびせたこと、ここに深く謝罪いたします。
わたくし謝罪に不慣れなもので、故に行き過ぎた発言があるやもしれません。先に謝罪しようなどいう開き直りは露ほどもなく。その都度お怒りください。その都度叱責ください。
開口一番失礼致しました。そして続け様に失礼致します。お叱りください、叱責ください。
重ね重ねの失礼、失礼しました。謝罪も行き過ぎれば失礼に。だからといって謝らずにいられるわけもなく。重ね重ねの失礼を失礼し、誠に失礼しました。お叱りください、叱責ください。
誠、感情面に配慮が行き届かず不甲斐なく申し訳なく性懲りもなく。なんと謝罪したらよいかも分からぬ始末。しかし本来、型など些末事。心、真心が大切です。誠意が物を言うのです。
私は誠意の代弁者に過ぎません。行き過ぎた誠意にご注意ください。ほんの些細な誠意、誠に大いなる煩わしさ。
失礼致しました。オブラートはどこへやら。お口直しもないありさまで、お口汚しは文字通りになる始末。粗末なものは本当に粗末で、お口汚しは面汚し、年賀状は果たし状、お歳暮お中元は見せびらかしとなる不始末の失礼なこと極まれり。
言葉を丸く、と思えば思うほど角が立つ不思議、裏腹なのが常道か、作用反作用の原理かと一人左様し、支点を探すも見当たらず、なきにしもあらずにも差し迫る儚さが漂う今日この頃。
これは失礼致しました。失礼千万雨あられ、地に落ちた失礼はまたいずれ天空へ、重ね重ね失礼に失礼を重ね失礼し、誠に失礼を失礼致しました。
これにて失礼する事に失礼し、別れの挨拶代わりに失礼を。挨拶は形だけ、心内は異なる言葉、商品の詰まったカート押す店員の、いらっしゃいませこんにちはーは、そこ邪魔だから退けー、で間違いありません。失礼は胸に仕舞っておくのが慎みというもの。
失礼します。文字通りに失礼し、心の内でも失礼します。失礼を失礼で覆い隠すのが実りある人生への近道です。
これは失礼を致しまして、失礼かと存じますが、失礼を失うとただの礼になってしまいます。礼を失して失礼に、失礼を失い礼に。
これは失礼。独り、失礼に耽っておりました。大変失礼しました。次回からは失礼のないように失礼しますので、どうかご容赦を。
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